文
□※キスとスキ
9ページ/12ページ
そこで幸村は、ようやくこの佐助に気付いた。
いつのまにか、肩を抱かれて相手の胸に体を預けている。
手を拘束していた苦無もなくなり、目の前にいる佐助の顔がいつのまにか真っ赤になっている事にも気付いた
何故か泣きそうに表情が歪んでもいる
「‥?」
「旦那、旦那!!嘘だろ‥ま、まさか……」
そっと長い指で、その場所をまさぐる
「っ、あ!ふぁ…」
「っぎゃ!!ごっ、ごめん!ごめんね旦那!」
漏れだした声に佐助が奇声を上げる。
「っは、さ、すけ‥?」
「っ!そうだよ、佐助!猿飛佐助、本物の俺様だよ、わかる?」
「ん‥」
佐助が不安げな顔でこちらを見ているのにも分からず、ただ熱の高さに翻弄され息を弾ませる
はずみで生理的な涙が零れ、溢れた
「うっ、ひ‥っ、く、ん……」
「わああ!!だっ、旦那ー?!」
ようやく本物だと、安堵ゆえ泣きだした幸村だが佐助は真っ青になる。顔を赤くしたり蒼くして先程の忍とは一転して豹変‥否、普段の知る佐助の顔になった事に幸村はきょとんとする
しかしすぐに熱さに気付き、唸った
「…っ、う‥熱い…っ!」
その様子に気付いた佐助が接吻を送る。
「!やっ…ん…」
身を引く幸村へ優しく頭を撫でると、ついばむような口で幸村の唇に触れた。
「ふっ…んう‥」
動きに誘われ、開いた幸村の唇にゆっくりとした動きで紡ぐと、一度離れ、再び口付けをしてから言った
「…臓物引きずり出して握り潰すだけじゃ、足りなかったな……もっと痛め付けて殺せば良かった…忍用の薬なんか使いやがって……。旦那、旦那?」
「しゃしゅ、けっ‥」
「‥な、何?」
さらりと恐ろしい発言をし、殺意を滴らせる冷酷な忍から一転、幸村の痴態に佐助の熱も上がりつい声が上ずる。
「あ‥熱いっ、たすけ、て…んっ…」
その言葉で真っ赤になった忍に気が付かず、手を伸ばして首に縋りつく
今は体の熱をどうにかしたくてたまらなかった
「……!!」
忍が必死で理性を保たせる。意味もなく何度も深呼吸し、ようやく落ち着かせた