文
□サド忍シリーズ
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その2 (放置ぷれい)
幸村は泣きそうになっている。
未だ乾ききっていない濡れた髪に火照る頬。
昼間だというのに寝間着用の着物を着て、屋敷の縁側でしたくもない正座を膝頭をぴったりと揃えて鎮座していた
依然泣きそうな顔で幸村は震えていた。
(‥何故だ。何故それがしの下着が一着もない?!)
籠の中にはなかった下着を探し、自身の箪笥を開けてみたがなく。
部下にもまさかどこにあるか等と恥ずかしくて尋ねる事もできず、一人正座をする羽目になった
「……う‥ぅう…」
「旦那ー」
「さすけぇえー!!」
「わ」
目の前に現われた忍に幸村か飛び付く。
「なにー、旦那」
「佐助っ、大変なのだ!そ、それがしの‥褌が一丁もない‥」
「あ、全部洗ったよ」
「へ?」
あっさりと答えた意味がわからず、幸村はきょとんとする。
しかし、目を細め口の両端を上げた佐助に幸村の顔はさっと青ざめた
「下穿いちゃった?」
「‥ま、まだ」
(さ、佐助がまた意地悪もーどになっているでござる‥!!)
「あ、ホント?ごめんねー、一度に全部洗いたかったから旦那が履いていたやつも持っていっちゃったんだ。今干したから明日には乾くよ」
「あ、明日?!」
「明日には全部の褌が入るよ?安心してね」
何故一気に洗ったのだろう。
聞きたいのだが、恐くて言えない。
「い、いや‥いま…さすけ!?」
にや〜としたまま、佐助は幸村から離れる。その服の裾へと手を伸ばしたが掴めず、幸村は呆然としたまま辺りを見渡した
お天道様はまだ高い場所にある
「そ、某‥一日中、このまま?」
新しいものを買う、という事は勿論考えつかず
幸村はその日一日中を部屋で過ごすことになった
全部洗ったのはわざとです。勿論、幸村を見守っています