ブック3
□!
3ページ/3ページ
「……。」
無言のままの相手に、視線が向けられる。実はかなり勇気を出して言ったのだが、予想外の反応のなさに頬を掻いた
「…聞いてんのかよ、小十郎。嫌だって言っても、帰ってやるからな」
「…全く、貴方という人は」
隠す様子もなくため息をして、小十郎が振り向く。
口の端を少し持ち上げ、含んだ微笑は初めて見せる顔だった
「そのような事を不意打ちで仰らないで下され」
「……」
「さて、一服も終わりましたな。退屈しのぎにこの私と仕合いますか?」
「っ、あ?ぁあ、うん…げっ?!」
「御意に」
「まっ、待て小十郎!今のナシ、なし!!」
「待ったなしです」
小十郎が立ち上がりそのまま中庭へと歩きだす
その手にはいつのまにか竹刀があり、政宗は後悔した
「……くそ、また剣先でおちょくられるのかよ‥」
武器は竹刀だが、戦場と同じく四本使っていてもあの博り役に勝ったことはない。痣だらけは必須だ
飾られた十字架に向かい、政宗は苦い顔をしつつも笑みを浮かべて言う。
「…今から懺悔をしても、OKかい?」
自分を呼ぶ声が中庭からして、政宗は覚悟を決めたように立ち上がるとそのまま茶室を出る
とりあえず、退屈だけはしないさそうだ
.
小政ー!好きです!シリーズでちょくちょく続いていきそうです