文
□log
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LOG@佐幸
茜色した柳髪
ひらり。
ひらり。
飛んでは跳ねて、翻ってはうねりを巻いて
変幻自在に形を変えて舞っているかと思えば直ぐに真っすぐ、元通りになる。
柳のように軽やかな、茜色をしたその髪は持ち主にそっくりな性格らしい。
「‥旦那?」
きゅっと勢いよく髪が振られ、佐助が振り向く。
縁側に座り込み鍛練をするその姿に見とれていた為、反応が遅れる
慌てて顎を上げれば、血糸車を肩に掛け、苦笑をした自分の忍がいた。
「だぁーからいったでしょ、忍の鍛練なんか見てもつまらないって」
「あっ、っう、いや!!」
両手を前に突き出して幸村は慌てる。下ろしていた腰を体ごと飛び出して叫んだ
「違うのだ、佐助!そうではない!」
「ん?何が?」
「いや、だから‥それがしは、そね」
「そね?」
「う、ぅう〜‥」
直情傾向で思い立ったらすぐに行動に移すこの主人は、自分の気持ちを相手に伝えるのが苦手だ。
ましてやそれを口で説明する事になり、相手に上手く伝える言葉が生まれないのか口をパクパクさせたり、顔を表情豊かに変えたりしているのは見ていてとても面白い。降参するまで放っておいてもいいのだが、このまま黙っているというわけにもいかないだろう。
何を言いたいのかは大体見当はつくが、とりあえず佐助は始めから問うことにした