Sah ein knab' ein Roslein stehn,
Roslein auf der Heiden,
War so jung ung morgenschon,
Lief er schnell, es nah ze sehn,
Sah's mit vielein Freuden,
Roslein,Roslein,Roslein rot,
Roslein auf der Heiden




目の前に突然、小さな赤い花を差し出された。
ぱちぱちとまばたきをすると花を差し出したまま彼女ははにかんだ。
なに?と首を少し傾げると、その白くて細い指で俺の手に花を握らせる。
話によると、ミリオネア・ロウの庭に咲いていたものらしい。
この花はあなたみたいだわ、と恥ずかし気もなく云う彼女は、ただ単に真面目なのだと思う。逆にこっちが照れる。
ありがとうと言うと彼女は伏せ目がちに微笑んだ。
そうして白い頬に落ちた睫毛の影を見て、唐突に、好きだと思った。
金色の瞳と目が合って、背中を少し丸めて彼女の顔に自分の顔を近づける。
無意識にまばたきする目元がとてもきれいだと思った。
びくり、と動いた彼女は、ぎゅっと目を瞑る。
それを見て可笑しくなったけれど、黙って彼女の耳に髪を掛ける。
沈黙が続いて、彼女はおそるおそる目を開く。


「きたい、した?」


俺が笑うと彼女は、はっ、とした顔で右耳の上に手を伸ばす。
そこにはさっき自分が手渡した小さな薔薇が刺さっていた。
抱き締めた彼女の体が余りにも白くて細くて柔らかいので、壊れないように優しく手を添えた。
彼女の胸元に顔を埋めると、少ししてから彼女の手が遠慮がちに俺の頭を撫でた。
そうして俺の背中にまわされた手が甘えるように力を込めたけれど。

(甘えたいのはこっちなんだ!)





少年が小さな薔薇を見つけた
荒れ野に咲く小さな薔薇
瑞々しく、目覚めるように美しいので
間近で見ようと駆け寄って
嬉しさいっぱいで見とれた
小さな薔薇 小さな薔薇 荒れ野の小さな赤い薔薇









































(彼女はやっぱりかわいい!)
クレシャ
080613
*野ばら=無意識の美しさ

素敵な企画に参加させて頂き、本当にありがとうございました!少女漫画全・開!笑

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