いまとときめきの物語
□箱庭の中の少女、世界を知らず。
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視界の隅で、雲がのんきに右から左へと進路を進めている。
私は何をするでもなくその決して生き物にはなれない白い生き物みたいなやつを眺めていた。
時間が経つにつれて、雲は徐々に移動していく。
天空で風が吹いているせいか足取りは快調で、
あっというまに雲は私の世界からはみだして遠く彼方へと行ってしまった。
そして残ったのは、澄みきった青空。
それから無駄に消費したいのに私の思い通りにならない時間も。
人生っていう制限時間つきの遊戯もおまけに付いてきてる。
もう一度息を吸って、
身体の中からあらゆるものを追い出すために長く長く息を吐いた。