いまとときめきの物語

□私の彼は星が好きな変人だ。
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私の彼は星が好きで、一風変わった変人だ。


どこが変人かって言うと、私よりも一人で天体観測している方が好きなんだそうだ。


天体観測しているとき、私は必要ないらしい。




この間、あっさり言われた。



「ねえ、この星座早見表って結局どう見ればいいの? わかんないよ」



私は数十分前から、彼から手渡された円形の表とにらめっこしていた。


二枚の厚紙を重ねた作りで、片方を回す度に季節ごとに見える星座がわかるらしい。


それは、手早く説明されたから、一応理解した。


けど、どうやってこれを利用すればいいのか、どうやって見ればいいのか、てんで見当がつかない。


ていうか、そこまで教えなさいよ。という、無言の念を彼の背中に向かって発してみたけど、当然気づかれなかった。



「おおおーっ!!今夜は火星の模様がいい感じに見えるぞっ!!見間違いじゃないよなっ!よしっ!!」



私の彼は火星にご執心のようだ。そう思ったとき、瞬間的に頭に血がのぼった。



「もう、火星と私とどっちが大事なのよ。宇宙のロマンよりも目の前の彼女大事にすべきじゃないのこの天体バカっ!!」



あまりに頭に来たので私は星座早見表を地面に叩きつけ、牙をむいた。


びくっと彼はこちらにふりむいた。私の怒りが頂点に達しているのを、彼は本当に不思議そうな眼で見返してきた。



もう、この天体バカ、バカめ。



全く私がバカだった。




なんでこんなやつ、好きになっちゃったんだろ。



どうして、大好きになっちゃったんだろ。




悔しくて、そんな自分がなさけなくて、ひとりでに涙があふれてきた。




ぽろぽろととめどなくこぼれてきて、どうしてもとまりそうにない。




「うっ………バカ、バカ………バカ! おたんこなす!」
 
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