いまとときめきの物語
□箱庭の中の少女、世界を知らず。
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時計の針がゼロをさしたような気がしてまぶたを持ち上げてみてもあいかわらずそこにはしみるような青空があるばかりで心の底からがっかりした。
私は脱力してため息をつく。
だれもいない学校の屋上に大の字になって寝転がっているのは私だけだ。
だって今は授業中だし、
それに生徒は基本的に屋上への立ち入りを許されてない。
私は禁を破って、今のところ私にとっての世界で一番高い場所にいるわけだ。
私は目を閉じて駆け抜ける微風の音に耳をすました。
そして鼻で笑う。
何度やっても同じだ。
破滅に向かって時を刻む時計をいくら想像したって、
すべてが無にかえってしまうゼロを想像したって、
私の目の前の世界は消えてくれない。
いや、別に消えてほしいわけじゃないんだけど。
本当に世界の終わりとか破滅を望んでいるわけじゃあないんだけど。
ただ、
青空がなんとなく憎いだけなんだ。