詩集C

□冬の始まりの詩
1ページ/1ページ



冬には夜空が増える

透明な幾つもの層

吐く息が白くなるのも
ぼくにとっちゃ冬だけ

冬に元気をくれるのは
色だ


その奥の奥は
黒っぽい色をしていて
お母さんの髪より黒くて

犬から見たら紫だったり
蜥蜴が見るとコバルトブルーだったりすると
面白い


冬という舞台の上
層を貫いて舞っているすずめの赤さ
これはこの世界で
いちばん強いんだと思う

これを見るときは
大抵赤い自転車に乗っているから

ぼくは冬が大好き

―わたし 元気だけど どう?
―勉強出来ても 人間出来て無い奴 ばっかりさ。

ぼくは冬の夜空が大好き

あの層のいちばん外側の新しい空気をたくさん吸って

いつか 地面が爆発したら
今度は いちばん内側になって

すずめたちのように 小さく赤く燃えるような命になりたいと
願う



.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ