詩集C
□何もない道
1ページ/1ページ
誰もがスピードを上げて
白線の外を
自由の裏側を
私は歩いていた
もう とても
ふわり
何も持ってない手を
ポケットに入れたら
温もりが生まれて
何もない道が
何かに満ちていた
でも砂漠のように渇いている
でも深海の真似をして
空洞のない沈黙だらけの道
ぶうと蝿の音がかすめて
やっと静寂が千切れた
後ろからあの人の声が聞こえて
やっと私は振り向いた
でも
私の生きている道では
そうならないように
爪先が戻らないように
下を向くことはあっても
その道は
思い出させる道
白線の道
どこまでも続いている道
何もない道
.