詩集C

□雑音
1ページ/1ページ



微塵も街は私に易しく無く、この世の雑音全てを生み出している様な五月蝿い電車から降りたときには、やわらかい風の速さで明かりを消して寝やがった。

夜が暗いなんて、誰が決める?
寒さも寂しさも私の細胞が吐き出しているもので、熟睡におちていく街が頼りなく、疲れて眠っているのだと知ったとき、私の呼吸は軽さを伴っていった。

生き物の悲しみとかを吸い出して、空に帰すのが街の仕事だ。
歩き5分程で見えてくる大通りは、私の耳に何も刺すことなく、大口をひらいて何かを欲している様にも見える。

世界中の無音が、限りなく私の身体を駆け回っている気がした。






[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ