詩集B
□こうもり
1ページ/1ページ
月があかい夕方七時
右手には
要らないものばかり
七月の空を僕は見た
塵の様に
風に揉まれる生き物
夜闇を引き連れて
羽ばたいていくこうもりだった。
僕はもっと近くに行って見てみたかったが
やつはきっと険しい顔をしていると思ってやめた。
自由のはずなのに
両手には何も乗せられ無くて
こうもり、お前も歌いたいの
風と遊び、夜をさらに冷酷にして
人のように鳴き声を忘れてどこかへ行きたいの
僕は左手を君の為に空けておくことにした。
.
[
戻る
]
[
TOPへ
]
[
しおり
]
カスタマイズ
©フォレストページ