詩集B

□こうもり
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月があかい夕方七時

右手には
要らないものばかり

七月の空を僕は見た

塵の様に
風に揉まれる生き物

夜闇を引き連れて
羽ばたいていくこうもりだった。

僕はもっと近くに行って見てみたかったが
やつはきっと険しい顔をしていると思ってやめた。

自由のはずなのに
両手には何も乗せられ無くて

こうもり、お前も歌いたいの

風と遊び、夜をさらに冷酷にして

人のように鳴き声を忘れてどこかへ行きたいの

僕は左手を君の為に空けておくことにした。




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