詩集
□こえなき
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その温かい風に吹かれる春、緑色を波打たせる貴方は、元気な声で走り回る黄色い帽子の子供たちを見下ろしている。
暑い日差しに射されて、体に小さな命をくっつけて、ざわめく人々を眺めている夏。
軽やかな色を足元に散りばめて、すとんと落ちる夕日を見送る秋。
冬。
川面に映った夜のイルミネーションを見つめている貴方。
風に吹かれても、その揺らめくドラマを見ている。
話すことはできないけど、貴方の花の紅が綺麗なことを、過ぎ行く人は知っています。
その赤の美しきは、さるすべり。
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