詩集

□雨音
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雨に霞む夜に
からすが鳴く

その影が
月の光を飾った

神の足元に
消えようか
という命ひとつ

張り付く雨音に
水溶性の劇薬のように
入り混じる苦の声

辛紅に染まる刃
ほつれて落ちていく

己という名の瞬間を
切っ先に映しながら

血走ったその目で
永遠の夜を見ながら

そこにあるのは苦しみだけ

光などみることはできない

わたしはそう言うだろう




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