短編

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鈴の音が俺を呼ぶ


綺麗な音は俺だけの物


鳴る音に耳をすませば


君がいる




デットラブ・イズ・ディスティニー2



「晋助さん・・・晋助さん・・・。」



女が俺を呼ぶ


聞こえているのに聞こえないふり


寝ているふり・・・


「もぉ、晋助さん!」


こっち向いて?と言わんばかりのやつの声に


「ん?」


声だけ返す


「雨ですよ。今日は荒れそうですね・・・お出かけなさるんですか?」


窓の外の空を見つめる


「あぁ。」


とだけ呟いて俺が逆向きに寝転がる


しばらくしてから雨は勢いをまして降り始めた


「・・・降ってきやがったか・・・。」


女は出かけようとする俺に傘を持たせる


「お気をつけて。」


女を置いて俺は家を出た。




あの女と出合ったのも、こんな雨の中だった。


ゴミの中で膝をかかえて死を待つアイツを俺は拾った


その日以来、女は俺を慕うようになった


俺もアイツに心を許すようになり


一人の時間が少なくなった


そして、あまり居座らなかったあの家にいる事が多くなった。



今日は大切な会合があった


この日を逃すとまた真撰組のやつらが煩くなるからな・・・


こんな雨の中、動くのは面倒だが・・・行くしかない・・・。





見慣れたメンツは俺を向かえる


会合は真縁組に見つかる事もなく済ませる事が出来た


「晋助様っv」


来島が駆けてくる


「今から帰るのですか?」


用の無くなった俺は家へと帰ろうとしていた


「今、外は危ないッス!!今日はこちらにお泊りくださいッス!!」


外を見ると確かに家を出た時より雨はまし、川が増水しそうなほど降っていた


危ない。というのも当たり前である。


「・・・。」


高杉が何も言わずに外を見ているので


「そんなにあの女の所に帰りたいんっすか!?」


と怒ったような悲しいような声で来島がいう


「・・・そんなんじゃねぇーよ。」


視線は変えず外を見る


「あんな女の所になんて戻らないでくださいッス!!晋介様はココにいてください!!」


来島は続ける


「あんなゴミも同然の女、晋助様には似合わないっす!!」


バンッ


鈍い、痛い音が響いた


「かっ・・・。」


来島が苦しそうな顔をする


来島のクビを高杉が掴み壁に押し当てたのだ


「また子・・・調子に乗ってんじゃねぇーよ。」


「し、しんす・・・さ、まっ」


「アイツは俺が拾った。お前に何も言われたくねぇー!!俺に構うんじゃねぇー!!」


あまりの力に来島の意識は飛びそうになっていた


「高杉・・・止めるでゴザル。」


俺の手を止めるつんぽに俺は睨みつける


来島から手を離すと


「どこにいくでゴザルか?」


やつが聞いてくる


「・・・俺の勝手だろ。」


荒しの雨の中俺は家へと帰る
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