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□卵とじ
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!誰得俺得な倉橋ヨエコさんの歌う卵とじで作った動画(http://www.nicovideo.jp/watch/nm7505635)を小説化してみただけの話。
!ホントはヒバツナ手描き動画で見たかったけど誰もやりそうにないから自分であれこれ弄って小説にしただけの話。
!つまり自分のために作ったパロディです。

以下の点が許せない人は閲覧をご遠慮ください。



“言えない気持ちを卵とじ、
お弁当に込めまして、”




「あ〜今日も格好良いなぁ…。」


珍しく余裕で登校してきた綱吉はぺたんと机に頬を貼りつけて校庭を見ていた。視線の先には朝練中の山本…ではなく、風紀検査中のヒバリだ。

一週間ある風紀検査のうちヒバリが指揮を取って立つのは一日だけ。その日は誰にも分からない。日時を敢えて告げないことにより全校生徒を一週間丸々極度の緊張状態に叩き落とし服装を正させようという魂胆だ。綱吉は毎回毎回超直感を残念なくらい無駄遣いしてヒバリが当番の日にだけ異様な程の早起きを発揮し、こうして毎日教室からヒバリを眺めてるのだ。


「おっすツナ!今日も良い具合に崩れてるな!」


ドサリとエナメル質の野球カバンを下ろした音がすぐ側でした。溶けて崩壊した顔のまま振り向くと山本がいつものようににかっと笑って立っていた。何時の間にやら朝練終了時間にまでなっていたようだ。


「おはよー。」

「おまえ相変わらずだけどホントすげーよな。いつもヒバリがいるときだけはえーもん。」

「うへへ。」

「その情報連絡網で回してやればお前ぜってークラスの連中に感謝されるのな。」

「いやーヒバリさんが咬み殺してるところも格好良いし…怖いけど。」

「ははっひでーやつ。」


冗談混じりに笑った山本はどっかりと綱吉の前の椅子に座る。俯せた綱吉の腕の下にはヒバードだとか、相合傘だとかとにかくいろんな落書きがなされていた。
きっと獄寺が見たら卒倒するのだろう。


「今日もね、朝出てくる前にヒバードに眠いとかお腹すいたとか言っててすっごい可愛かったんだよ!」

「お前出る前って何時から来てたんだよ」

「6:18!」

「オイ」


テスト前に朝勉強する生徒でさえそんな早い時間に来ない。そもそも門自体開いていないのではないか。


「だからヒバリの立つ日の補習は死んでるんだなー」

「オレもう勉強なんて知らないー」

「流石にまずくね?働き口がねーとイタリアにおいでおいでされちまうぜ?」

「それもやだ!あーっヒバリさんを見つめる仕事があったらなー!そしたらオレ絶対皆勤賞取れるよ!」

「スパイか?」

「それか趣味でヒバリさん鼻歌毎日聴いたりさ!」

「盗聴か?」


てかそれストーカーだな。と山本は笑う。現時点で1限まで後五分。がらりと必要以上に大きな音で扉を開けて獄寺が入ってきた。


「お、今日は遅かったのな!」

「てめーには関係ねーよっ!それより十代目ぇ…今日何時に出たんですかぁ…。オレ7:27にお迎えに上がったんですよー!」

「獄寺、お前もか。」

「あーごめんごめんっ!ちょっと今日は何か感じてね…。」

「流石十代目!起き抜けにも超直感を働かせてるんですね!」

(ヒバリ専用のな。)


声に出さずに山本が突っ込む。天然の勘で感付いた山本は別として、綱吉は基本的にヒバリを思ってる事を隠している。そのため獄寺が来ると綱吉はヒバリの話を殆どしなくなる。もうおもしろい話は出ないだろうと獄寺に視線を移す。獄寺はというと未だ綱吉において行かれたのを気にしつつも朝食を食い損ねたのかコンビニで買ったパンを開いていた。






「え、お弁当?」


その日の昼休み。いつものように屋上で昼食を取っていたとき獄寺が席を外したのをきっかけに山本が切り出した。ヒバリに手作りの弁当を差し入れるのはどうかと。


「おぅ。ただ朝早く起きてヒバリを眺めるよかよっぽど良いと思うのな」

「うーん…でも、渡してもヒバリさん食べてくれないんじゃないかなぁ…。」


困ったような顔をしてデザートのプリンを混ぜる。一つの固まりが砕け、さらに細かくなり、流動食状態になっているが綱吉は気付かない。完全に頭の中はヒバリ一色になっているからだ。


「やー。ツナのストーカーよかずっとましだと思うのな。それにさ、いつも見てるんならヒバリが朝どれだけ忙しいかとかも分かるだろ?」

「…。」


その言葉に綱吉は黙り込む。今朝のヒバリの様子を思い出しているのだ。


『みーどりたなーびくーなーみーもーりーのー』

『お早よう。君も早いんだね。感心したよ』

『ヒバリ、ヒバリ、おなかすいた!』

『あぁ、餌をねだりに来ただけかい?』


仕方ないねとトロフィーの置いてある棚から並盛りペットの餌袋を出す。ばらばらと手の上に出し、餌をついばむヒバードを微笑みを讃え見守るヒバリ。


『美味しいかい?』



「ツナ、何を思い出してるか知らねぇけど、鼻血出てるぜ。あと涎は拭こうな。奈々さんの卵焼きが泣いてるぜ。」


綱吉の回想は止まらない。脳内では餌付けをしながらヒバードさらに話し掛けるヒバリがいるのだ。



『それにしても…君を見ていると僕もお腹が空いてくるよ。お弁当くらいは作るべきかな。』



「…山本、」

「…ん?」

「オレ、ちょっと家庭科室ジャックしてくる。」


立ち上がった綱吉の目は、ザンザスを前にしたとき以上に本気だった。
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