Text

□PAが家にやってきた!
1ページ/7ページ






「んー…?」


まだ肌寒さが残るある休日の朝…いや、昼だろうか。ふかふかの布団の中で5日振りの惰眠を貪っていた綱吉はふと暖かな何かを感じて意識を浮上させた。
初めての感触の筈なのにずっと前から知っているようなその温もりはきゅう、と綱吉の全身を包み込んでいる。


(…あったかい…けどなんだこれ…?)


ゆっくりと開き朧げに映る視界を占めるのは肌色。布団ではないそれの一部は自分の方に伸びている。
だんだんとクリアになる意識で綱吉は理解する。自分は今人間に抱き締められたまま眠っていると。そして、その人間は今、裸であると。


「…え、」


その事実に綱吉の目は一気に覚めた。綱吉の発した声に反応した目の前の人間…男も目を覚ます。黒髪のその男は、やけに大人びた出で立ちをしていたが先日よく分からない理由で帰宅途中の綱吉を呼び出しとんでもない目に遭わせた風紀委員長によく似ていた。


「えっ…えぇっ?!」


よく見たら目の前の男だけでなく眠っていた自分自身も服を着ていないではないか!
裸の人間二人が同じ布団で朝を迎える。
未だ幼い綱吉でもさすがにこれが何を意味しているのか分かってしまい、赤面して狼狽える。
それを見てクスリと笑みを浮かべた男は呆然としている綱吉の前髪を優しく払い、小さな耳元で色気をふんだんに含んだ低い声で囁いた。


「おはよう綱吉。昨日はとても可愛かったよ」

「っ!!」


ショックと大人の色気に当てられた綱吉は瞬間湯沸器のようにぼわんと逆上せ上がる。それに追い打ちを掛けるように背後から声がかかった。


「ふぁーあ。朝からラブラブだねー。でも、出来ればオレのことも忘れないで欲しいなぁ。」

「!?」


驚き、声を上げる前にくい、と顎に手を添えられ顔だけ振り向かせられる。至近距離で一瞬分からなかったが綱吉の後ろにはこれまた裸の、今度はどこかで見た様な気がする茶髪の青年が微笑み掛けていた。


「初めてなのに二人も相手にさせちゃってごめんね?」

「君があまりに可愛くねだるから止まらなくなっちゃった。」


そう言って目の前の黒髪の男は頬に手を添え綱吉を前に向かせ額に優しく口付けた。


なんて事だ。

自分は目の前の見ず知らずの男二人と一線を超えてしまったのか!!

ていうか自分は女役だったのか!!!

ていうか初めてなのに複数なのか!


予想だにしなかった事実に綱吉は折角覚めた意識が急速に遠退いていくのを感じた。


「おーい…だいじょーぶ…?あ、ダメだ意識がない。もう。ヒバリさんのせいですよ。この頃のオレまだすっごい初なんですから!」

「そんな初で小さな君に3Pしたなんて事実を突き付けた君の方が寧ろ止だった気がするんだけど。」


大袈裟に方を竦めて黒髪の男を嗜める青年に男は淡々と言葉を返した。
朝から逆上せ上がってしまった綱吉の柔らかい頬を指先で堪能しながら。



PAが家にやってきた!
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ