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□Prankish Adult
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!カプ要素は無いつもりですが、見ようによっては中学生雲雀が受けっぽいです。苦手な方はご注意を。







かつての臆病な、それでいて真直ぐで優しかった小さな子供、沢田綱吉は10年の月日を経て一マフィアのドンとなった。
家庭教師の指導の賜物により綱吉は戦闘技術以外にも書類整理や交渉力をも身につけダメツナの影はすっかりナリを潜めている。だが時折見せる彼らしい優しさは周りの多くの者を魅了した。

………と言うのが他ファミリーから見た綱吉の姿なのだが、それはあくまで沢田綱吉の特徴のほんの一部、一番評判の良い表層的な部分である。

つまり、沢田綱吉にはボンゴレファミリー内以外では決して見せることのないもう一つの一面があるということだ。

それは、


「ねぇ沢田。最近平和過ぎて暇なんだけど。どっかに殺戮落ちてないかな」

「殺戮は無理ですけどちょっとした騒ぎなら簡単ですよー?オレとあなたが仕事放置で脱走すれば直ぐ様ファミリー総出の鬼ごっこが始まります!」

「良いねそれ。追ってくる雑魚を潰し放題だ」

「あははっ部下なのに可哀想ですねっ」


学生時代の頃から少しずつ、少しずつ、少しずつ培われとうとう何人にも制御が出来なくなる位に一つの性格として確立してしまった“雲雀恭弥の悪友”としての沢田綱吉である。何がどうなってそうなったのかはボンゴレ内でも七不思議として広まっている。

学生時代の二人は言うまでもなくあまり交流が無かった。だがリボーン絡みで何かトラブルが起きた場合、綱吉はいつも雲雀に振り回されていた。その後、互いに成人し、正式に十代目を継いだ跡も、守護者でありながらも同時に風紀財団のトップの雲雀がまず綱吉を上司だとか主人だというような見方はしなかった。辛うじて対等な取引相手と見たとしてもだ。依然草食動物のままの方がまだ有り得たくらいだ。

だがある時を境に雲雀と綱吉は互いに暇なときは時間を共にするようになった。否、たとえどちらかが、あるいはどちらも忙しくても関係はない。二人のうちどちらかが仕事をほっぽりだし互いの元へ行くこともしばしばあるからだ。
そんな二人が集まって何をするかと言えば、
“退屈しのぎ”と称した他人を巻き込んだ遊びである。

綱吉に影響されて雲雀は流血沙汰の暴力行為以外にも楽しみを見出だす事が出来るようになった。だが同時に雲雀に影響された綱吉は理不尽な言動を笑顔でやってのけるようになった。
つまりこの二人をセットにしてしまうと、

「オゥ、ミゼリィ」

と周りが青ざめるということだ。


そんな二人は今日は綱吉の執務室で和のスイーツとお茶を挟みのんびりと過ごしていた。テーブルの端には丁度白黒が半分ずつで決着が着いたオセロがそのまま放置してある。超直感と論理的思考が衝突した結果だ。ちなみに二人白黒付けようと勝敗をジャンケンで決めようとしたがこれも勝負が付かなかった。超直感と野性の勘が衝突したからだ。


「そう言えばヒバリさん聞きました?正一くんがついにX年バズーカ発明したんですって!」


竹筒を模した容器に入った羊羹で連想したのか綱吉が唐突に話題を振った。雲雀にとってはそれはいつものことなので特に何も考えず綱吉の話に耳を傾ける。


「…X年って事は…時間設定可能って事かい?」

「はい!10年前でも10年後でも好きな所へ行き放題ですよ!入れ替わることもないので相手に危害や被害は行きません……あ!」


綱吉が何かを閃いたようだ。それとまったく同じタイミングで雲雀の眼が少しだけ細まった。


「大変ですヒバリさん!オレ今すごく良いこと考えちゃいました!」

「偶然だね。僕もだよ」


にこり。にたり。
タイプの違う笑みを二人が同時に浮かべる。
それは二人の楽しい楽しい悪戯(たいくつしのぎ)の始まりの合図を意味していた。
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