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□Run Ran Run Away!!
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!大人組が少々えげつないです。
!ノーマル27とハイパー27は分離してます。双子です。
!↑の兄弟はお互い溺愛してますが2727を前提としているわけではありません。単にお互いが大事なだけです。
!軽いバイオレンスあり
!R15相当の性描写あり
!あんまり気分がすっきりするエンディングではないです
選択肢は二つ。
おとなしく捕まって酷い目に遭うか、
逃げて捕まってえげつない仕打ちを受けるか。
それなら答えは決まってるよ…ねぇ?
では、往きましょうか。
カウントダウン3・2・1…0
安全地帯でまた会いましょう。
Run Ran Run away!!
「おー速い速い。意外だよな。ツナがオレを乗せてもここまで早く漕げるなんて。」
心地よい風に髪を吹かれながらツナの漕ぐ自転車の荷台に座り綱吉は笑う。二人はゲームを買いに隣町に来ていたのだが、帰り道で綱吉の自転車が壊れてしまったのでツナが後ろに乗せて走っているのだ。
「ていうか後ろ乗るの怖くない?この前獄寺君と山本が荷台のない自転車に立ち棒付けて二人乗りしてたけどオレには無理。だって怖いじゃん。揺れるし、足とか車輪に引っ掛けそう。それだったらオレはしんどくても漕ぐよ。」
情けない話だけどねと苦笑するツナは確かに慣れているのか綱吉を乗せているにもかかわらず比較的速いペース、普段一人で乗るくらいの速度を保っている。
「まぁそう言うのもいるよな。」
「それよりも綱吉足大丈夫?さっき飛び出した男の子を守るのに無理に自転車から飛び降りてたじゃん?自転車ガタガタになってたのに綱吉は無事なんて言わないでしょ…?」
「まぁ確かに派手にやったけどさ…。でもほら、オレジーパンだったから擦り剥いたっても大したことないし、捻挫って言っても大したことないしさ。」
「本当気を付けてよ。あの時はオレ心臓止まるかと思ったんだから。」
「あぁ。ごめんな心配かけて」
暫くの間和やかに話ながら進んでいたが、綱吉がT字路にあるミラー越しに何かを見つけたのか少し慌てた様子で叫んだ。
「ツナッ今直ぐUターンしろ!無理なら左に曲がれ!」
「え、ちょ、なにっ…?!」
いきなりのことで反応し切れなかったツナは取り敢えず遠回りになることを承知で左にハンドルを切った。
「びっくりしたなぁ綱吉!いきなりどうしたの?」
「やばいな…あれ多分ヒバリと骸だ…」
「…?」
緊迫した声音と、滅多にしない舌打ちにツナは何かまずいことがあったのだと察した。小さくスピードを上げるよう耳元で囁かれたのでおとなしく言うとおりにした。
「綱吉…どうしたの?」
「振り向くな。そのままスピードを上げて走ってて」
「だから何で…」
「警察だ。ミラー越しに見えた」
「あ、そっか。二人乗りってダメだもんね。でも何で逃げるの?捕まっても注意だけでしょ?」
「普通ならな。だが相手がヒバリと骸なら話は別だ。」
幸いツナたちが出てきた道からパトカーは大分離れていたが、相手がパトカーなら気付いてから捕まるまでは時間の問題だろう。
並盛町を担当区域とする雲雀巡査と六道巡査、通称ヒバリと骸はおいたをする少年、少女たちにとっては普通の警察よりも遥かに恐るべき存在であり、皆が皆口を揃えてヒバリと骸に関わるくらいなら注意で済む些細な違反でも保護者呼び出し、学校へ連絡の方がまだましだと言っているくらいだ。
「実際あいつらがここに派遣されてから並盛の治安は良くなってるんだけどな、他の連中の体験、あとフウ太の情報に寄るとな、何かやらかしてあの二人、いやどちらかが出てきちまったらもう終わりなんだと。」
「え、…な、なんで…?」
「例えばチャリの二ケツや原付の信号無視…それ位なら注意で済むものでもヒバリは容赦無くトンファーで最低5発はぶん殴る。万引きとか犯罪やらかしたら半殺しなんだとさ」
「ひぃっ…!おっかねぇ!」
「それに骸の説教は精神的にかなり来るって噂だ…」
「恐ッ。でもお説教くらいならオレ耐えれる…かも?」
「結構なトラウマになるらしいけどな。それと聞いた話だと前に喧嘩騒ぎであいつが止めに入ったとき一回で聞かなかったから二人まとめて病院送り…後の事情聴取の後は二人してこの世の終わりを見たような顔をしていたらしい。」
「何されたのー!」
「分からない。どいつもこいつも何も語らない、いや語れなかったらしいからな。骸のことに関しては。」
「てことはオレ達…かなりやばいんじゃ…!」
「あぁ、一つでも目を付けられる要素を持ってあいつらに会っちまったら…呼び止められて止まっても逃げても痛い目にあう。」
「そんなっ…!じゃあ気付かないうちにどっかに曲がるべき…?」
「無理だ。大分離れてるが一定のスピードで着いてきてる。これじゃあ遅かれ早かれ捕まる。」
獲物を見つけた獣みたいな追跡だな。気配に敏感な綱吉は先程から絡み付く視線に心底うんざりしている。
「さてと。ツナ。ここで相談なんだが」
「まさか“オレが囮になる”とか言わないよね。嫌だよ。そんなことさせるつもりなら今直ぐ止まって捕まってやる。」
「近いけど外れだ。オレは走って逃げるからおまえはそのまま自転車で逃げろ。」
「同じじゃんか!何が違うっていうの?!」
「大違いだ。ニケツでのお前の速さじゃ逃げるのは無理だ。だからお前は自転車でパトカーを撒け。オレは走って追ってくる奴を撒く。車は確かに速いが、止まってから降りる時間もあるから一人で全力で漕げば逃げれないこともない。走るオレは相手の車を降りる時間があるし、後は体が小さいから何処にでも逃げ切れる。ただ捕まるよりはやってみる価値はあると思うぞ?」
「でも…」
「無理なら他の交番で他の奴に捕まってこい。少なくともあの二人よりは遥かにましだ。確か並盛駅の近くの交番にランチアがいるらしいからな。」
「…分かった…。でも…無理しないでね?」
「ランチアの交番で会おうな。」
ちらりと後ろを振り返る。やはりパトカーとの距離は最初見つけたときよりも縮んでいる。
綱吉は体勢を少しづつずらし立ち上がり飛び降りる準備をする。
「次の角でオレは飛ぶ。お前は取り敢えずパトカーを撒きながら駅の交番へ行け。」
「…うんっ!オレ、もし捕まっても絶対綱吉のこと言わないから!」
「…無理だけはしないでくれ。ツナが無事ならそれで良いから」
「うん…。じゃあ…せーのーでっ!」
ガシャン
ダンッ!!
十字路に差し掛かるのと同時に綱吉は自転車から飛び降り右の道へ、ツナは綱吉が降りたのを確認してから自転車を飛ばし次の角を左に曲がった。
「「また後でね(な)!!」」
「おや、あの二人二手に分かれたみたいですよ?どうします?」
「逃げた…いや見つかった時点で制裁は決定だからね。君はそのまま自転車を追いな。ちょうど運転してるし。僕が走っていった彼を追うよ。」
「了解です。クフフ…あの二人、前にランチアの交番来てたんですけど…あの気の弱そうな子、可愛いです…苛めて泣かしたくなるくらいに。追う相手があの子であってほしいですねぇ。」
「変態。警察の風上にも置けないね。まぁあの強そうな方に関しては僕も同意見だけど。」
「クハハッ!君も似たようなものじゃないですか。さて、そろそろ止めますよ。」
「あぁ。」
減速し、綱吉の足が地面に着いた直後にヒバリはシートベルトを外し扉に手を掛け、骸が止めるのと同時に外に降り立ち、体のバネを生かして綱吉が消えた方向へ駆けていった。
「さて、と…おいたの過ぎる子供にお仕置きを…ですかね。」
クフフと一人妖艶に笑い骸も自転車に乗って逃げるツナを追うべくアクセルを踏んだ。
正義を盾にストレスを解消する悪い大人に仕掛けるゲームの始まりだ。
二人に待つものは安寧か、それとも…。