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□タングルレッドのラブパターン
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ベタすぎる、なんて突っ込みでは済まされない。
それが彼らのラブパターン。
気付いてしまった愛は誰の物?



タングルレッドのラブパターン



面倒臭いものだってのは何となく分かっていた。でもそれは同時に今日幸せになるための細やかな可能性でもあった。
口に出すか出さないか、認識してしまうか気付かない振りをするか。その二択は目の前の黒い赤ん坊によって唐突にオレに投げ付けられたのだ。


「…さっきから何か言いたそうな顔してやがるな。…なんだ?」

「…お前か?朝からわけの分からない悪戯をしたのは…」

「いたずらだと…?てめーの脳天に銃口当てて目覚まし代わりに起こすいたずらか?」

「ちげーよ!!つか何お前そんなことしてるの?!……じゃなくてコレだよコレ!オレとお前の指を繋いでるこの赤いやつ!」


そう、オレの左手の小指と、リボーンのそれは真っ赤な糸で繋がっている。別にコレが何なのかが分からないほどオレは無知ではない。
むしろ何か分かっているからこそこうやってリボーンに詰め寄っているのだ。


「あぁ、それのことか。よく見ろ。繋がっているのはオレだけじゃねーぞ。」


そう言われてみてみると、確かに。
現在7時45分。朝食時のダイニングルームには居候含み家族全員揃っているわけだが、そのメンバー全員と自分の指がリボーン同様真っ赤な糸で繋がっていた。驚くことにそれはリボーンを溺愛しているビアンキ、そして血がばっちり繋がっている母さんも例外ではなかったのだ。


「………朝から何なんだコレは。オレまだ寝てるのかなぁ…じゃないとありえないよな。こんな沢山あの運命の赤い糸があるはずがない絶対ない。ないないない。」

「ツナ兄さっきから何言ってるのー?ツナ兄のウィンナーランボにとられちゃうよー」

「それに糸なんてどこにもないじゃない。あんたもう一回顔洗ってきたら?」


オレの独り言を聞いたフウ太、そしてビアンキは至極不思議そうな顔をしてオレを見た。ビアンキにいたっては眼がなんか可哀相な人を見るそれに見えてならない。
…失礼な。リボーンも見えてるんだぞ。


「…結局何なんだ…コレは。」

「ラブチェックシンドロームだぞ。」

「…何だよそのすっげーふざけた名前。」


食パンを齧りながらリボーンの説明を聞く。

曰くオレの今の状態は、死ぬ気の炎を灯した回数がある一定の数を越えたときに稀に起こる症状の一つらしい。
何でも一定の範囲内にいる人に流れる外側の波動オーラみたいなものか?…がある条件でオレのと繋がっていくらしい。
似たような病気でデスチェックシンドローム、オーラが9割の確立で行動に移る殺意を持つ人間とを繋ぐ病気があるらしい(おっかねぇ)。
とりあえず、オレの指にあるコレはオレとオレに一定以上の好意を抱いてる人を繋げている…らしい。


「ママンやフウ太も含んでるっつーことは好きは好きでも親子、家族間の愛情、多分友情も…つまりはありとあらゆる好きを含むっつーわけだな。」

「ふーん。てことは獄寺君や山本とも繋がるってこと?」

「おそらく京子もな。友達の括りに引っ掛かって入ればの話だが。友達の括りにな。」

「なんかムカつくな。その言い方。…ってちょっと待てよ!!てことはオレこのままずっと誰かを引きずって一日を過ごすってことか?!」

「アホか。原料は波動だぞ。死ぬ気弾を打つオレは別だがお前以外の誰にも見えねーぞ。それにある範囲内でって言っただろうが。家から離れるとオレ達の分は見えなくなる。」


あるいは、…少しの静寂のあとリボーンは何の予告もなしにオレをぶん殴ってきた。


「いっ…てぇぇぅええ!!いきなり何すんだよ!!」

「手を見てみろ。」

「手…なんでまた……あ。」


自分の手と、リボーンの手を見比べて気付いた。繋がっていた糸が消えている。


「…とまぁ、相手に直接触れば一時的にだが見えなくなる。ちなみにこの病気は一日経てば消えるし命に別状はねぇ。」

「…へえー…あ、また繋がった。」

「ほっとけ。どーせ家からでりゃ消える。分かったならさっさと行け。あいつら迎えにくるんだろ。」

「!あぁ。ありがとなリボーン!」


手を見てみると新に糸が二本増えていた。それを認識した直後に呼び鈴がなり獄寺君のオレを呼ぶ声が聞こえたからこの二本は十中八九獄寺君のと山本のだと思った。


「十代目ッおはようございますっ!!」

「もう準備できてるか〜?」

「うん!!すぐ行くよっ!!」


外に出て実際に二人の姿を見たとき、繋がっていた赤い糸がさっきよりも太く濃い色の物になっていた。
それの意味はよく分からないけど、なんか嬉しくて、照れ臭かった。
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