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□Enough!
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なんつーかさ、もう…
「つーなーよーしーくーんっ!!」
「…げ。」
左右のどちらかの頬にあざを作ってツナに泣き付く骸の図はもはやある意味での並盛の名物である。久々に補習を免れ上機嫌で下校しようとしていたツナは、その顔を見た瞬間、この世の終わりのような顔をした。
「聞いて下さいよぉっ!きょうやく」
「うっさい。」
ヒュン、バコッ!!
「へぶっ!!」
「じ、十代目…」
「お前そのカバンの中身…」
「ごめんねっ山本ッ獄寺君!!やっぱり今日は一緒に帰れないっ」
カバンアタックあい地に伏した骸を背後にいつものわたわたとした様子で両手を合わせて二人に謝るツナは紛れもなくいつも山本達が見る彼で。
「…山本と二人きりは気に食いませんが…問題ないっす!!」
「仕方ねーからゲーセンは土曜日にすっか。」
2秒前とのギャップなどまったく感じさせないその光景に二人は相も変わらず一瞬茫然としていたがすぐにいつもの調子で各々の返事をした。
「ほんっとごめん!!それじゃあまた明日ね!!」
そして未だ動かない骸を引きずって再び校舎に戻っていくツナを苦笑混じりに見送った。
「…どーりでツナの奴最近置き勉が減ったと思ったぜ…。」
寧ろ骸の襲撃を直感した日は机を空っぽにするどころか、ロッカーの中身まで引っ張り出していることは、流石の山本でも知る由などなかった。
「…骸の野郎かなり頻繁にきてたからな。」
「ついでにヒバリにも絡まれてるぜ、最近。」
……十代目に変な癖が付くのも無理はない。
すっかり根付いてしまった新たな一面に軽く涙すべきか、とことんまでトラブルを引き付ける体質に肩を叩いてやるべきか、真剣に議論しながら二人はツナのいない帰路に着いた。