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□RADでWIMPなツンツンHERO-MODE:ナマイキ
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物心がつく頃から銀色の相棒と共に自力で生きてきた。
親の庇護も必要最低限、下にひれ伏す人間はいれど、友人と呼ぶべき人間は全く持たなかった、寧ろ拒絶した。
だから今更その道を捻曲げようなんて思わないし、間違ってそんな奴出てこようものなら誰であろうが咬み殺してきた。
そんなふうに生きていながらも、僕は無意識に待っていたのかもしれない。
死ぬことすら顧みず自分の領域に踏み込む物好きを。
「熱…」
握り締めていた鉛筆を置き、熱の籠もったため息を一つ。
季節の変わり目で寧ろ肌寒い位の今の気候が原因ではないことは明確だ。
原因はただ一つ、自分自身の不養生。
書きかけの書類を端に寄せ、机に突っ伏した。
ひやりとした机の感触に、思わずそのまま寝に入りそうになるが、頭を振って持ちこたえた。
たとえこの部屋に入ってくるのが風紀委員位でもこんな情けない姿曝してたまるか。
孤高の猛獣として生きてきた雲雀恭弥には、いかなる時でも人に頼るという手段を用いる事はなかった。たとえ今現在、39度の高熱があったとしても。
(失敗した、熱なんて計るんじゃなかった。まさか微熱がここまで上がるなんて…)
朝に火照りを感じ、なんとなしに計ってみたら、37.3度。そして、つい先ほどさらに熱さを感じ計ると39度。
いったいなんたって短時間でここまで上がるんだ。
数分前の愚かな自分に心のなかで毒づいた。
気力で起き上がろうにも、ディスプレイに表示された文字を見た時点で、体の怠さが顕著化し、視界もぐるぐると渦を巻いている。
(仕方ない…)
腕に力を入れて立ち上がり、ふらふらと向かうはまず給湯室。そこでガンガンに冷やした水を顔に叩きつけた。痛いくらいの冷たさで、ぼやけた思考は幾分ましになった。
(今のうちに…)
ついでにぼやけた表情を引き締め、あたかも病人でないかのように気丈に振る舞いヒバリは給湯室を後にした。