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□I want your...
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「綱吉がが欲しい」
「綱吉君が欲しいです」


滅多に意見の合わない二人がそう言ってベッドで寝ている俺にのしかかってきたのは昨日の事だ。
突然のことに訳が分からず藻掻いていた俺に恭弥がキスしてきた。無理矢理絡められ、吸い上げられる舌の感覚に、ふらつく眩暈を覚えながら、あぁ、これでファーストキスも奪われちゃった、なんて他人事のように思った。
そんなことをしている間に骸は俺のパジャマを脱がし首筋に噛み付いた。大きな歯形の隣に小さな鬱血の跡が幾つも俺の右肩周辺に残された。


「っ…何のつもりですか」


顔が紅潮し、上気してるのはつい数秒前まで僅かな酸素しか与えられなかったから。決して腰が砕けたわけではない。


「言ったでしょう?君が欲しいと。」

「本当は共有が嫌でずっと所有権を賭けて戦ってたんだけどね、こいつがしぶといから埒が開かなくて。しぶしぶこれで妥協したわけ。まあ、いつかは僕が綱吉を勝ち取るけどね」

「それはこっちの台詞です。」

「ふざけるな!!……何だよ共有って所有権て…っ。俺はモノじゃないっ!あんたらに奪われてどうこうされて良いものに成り下がったつもりも覚えもない!!」


俺をもモノとみなしこっちの話を無視して話を進める二人についに切れた。
こんなに大声で叫んだのはたぶん数年ぶりだ。さっきのキスもあってか息が上手くできない。
数年前に凍てついた心が怒りの感情で少しずつ溶け出てくる。
あぁ、何か泣きそう。きっと状態が悪化しそうだから涙には強制退場してもらうけど。


「何言ってんの?君にはそれを覆す権利も拒否する権利もないんだよ。」

「君はこの家に足を踏み入れた時点で僕達いずれかのモノになるって決まっているんですからね。」

お父さまも許してくれたことですしね、と骸は哂う。その時思い出したのはあの時骸が言った事だ。

「じゃあモノが何かをもつからっていうのは…」

「僕のモノになる君は自分で何かをもつ必要はないってことさ。」

「僕が与えるものをただ受けて生きれば良いのですから」


そういうことか。散々俺の大切なものを奪ってついには俺自身も取ると、ね。


「冗談じゃない。」


二人を押し退け俺はベッドから這い出た。すぐにまた同じところへ引きずり戻されたけど。


「どこへ行く気だい?」

「さあ、あなた達を見なくてもすむ場所ですかね。」

「残念ですが、かないませんよ。夜が明ける頃には君は僕達のモノになりこの部屋からも出られなくなれのですから。」


その言葉を合図に二人は再び俺に乗ってきた。キスを奪われたときからある程度の覚悟はしていたが、俺は案の定為す統べもなく一晩でファーストキス、そして汚れを知らない体を奪われた。
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