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□拍手御礼に使った文と突発SS
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!風とツナとその他諸々。
!某格闘漫画のネタ?有り。
!風の性格に多大なねつ造有り(そりゃ本誌で喋ってないし)
!口調だけアニメを元に変更しました。
「お帰りなさい、サワダさん」
「………ヒバリさん?」
扉を開けるとそこには爽やかな笑顔をした恐怖の風紀委員長がチャイナ服を着て出迎えていた。
お師匠様は退屈しているようです。
「…てことはあなたがそのイーピンのお師匠さんですか?!」
「ええ。名前はフォン…風と書いてフォンと読みます。」
膝の上に真っ赤になって固まったイーピンを乗せ、優しく頭を撫でる傍らそう答えて笑う。こっちの気持ちが安らぐほどの穏やかな空気を感じ、ツナはイーピンが彼を好いている理由が何となく分かった気がした。
「それにしてもびっくりしました」
「ん?」
「確か風さんもアルコバレーノ…リボーン達の仲間なんですよね?だからその大人の姿だと思わなくて…ってあれ!?」
少し目を離した間に風の姿が消えていた。
「ふ、フォンさん…?」
もしかしていつのまにか背後に?!流石拳法家…!
よく分からない自己解釈をし、一人感動しているツナの下から先程より少し高い声が聞こえた。
「う…さすがに今のままではせいぜい2時間ほどが限度なようですね…。」
「え、フォン………さん?!」
ツナの足元にはリボーンと同じサイズの風がいた。
「え、な、なんで?!」
「これでも中国3000年の歴史を持つ武闘家の端くれですから。少々気を使えば可能なことです。…少しばかり彼にも助けてもらっていますがね。」
ふう、と小さく嘆息すると同時にもぞもぞと風の頭から何かが生えてきた否、頭にはい上がってきた。
キキッ、と小さくなくそれは、日本では珍しいだろう白い毛並みの子猿だった。
「わ、可愛いですねっ!」
「でしょう?少なくとも黄色の爬虫類や紫の蛸よりはましだと思うんです。」
「き、黄色…?」
「ん?あなたの元にいる赤ん坊は黄色のおしゃぶりだったと思うんですが…」
「あ、リボーンのことですね!」
「そうでしょうね、きっと。どうにも苦手なんです…人の名前覚えるの」
子猿と頬を擦り合わせながら笑う風を見て小鳥を指に乗せて笑むヒバリの姿が被った。
いやいやあの人怖いし!
一瞬浮かんだ光景をブンブンと振り払うようにツナは被りを振った。
「?どうかしましたか?」
「いっいえ!それで風………さん、は今日はどうしてこちらに?」
「ふふ、無理してさん付けする必要はありません。日頃イーピンが世話になっていますしね。」
あ、すみません。へにゃ、と苦笑して謝るツナに風はくすりと笑う。
よく笑う人だなぁ。
同じ顔した仏頂面を普段見ているためか彼の笑顔を見るたびに少しくすぐったい気持ちになった。
「…手紙を読んでいると久々に彼女に会いたくなってしまいまして…。この子、修業が終わるまで帰ってこないって言いますし。久方ぶりだから折角彼女の好きな私の姿で来たのですが…まだまだ修業が必要ですね。」
「そんなっ!2時間も大人の姿を保つなんて凄いと思いますよ!」
「ありがとう。時に沢田綱吉。イーピンから聞いたけど最近あなた黄色の理不尽な修業で守護者とやらに追い回されているんですよね?」
「あ、ははっ…現在進行形です。」
今やっと一旦撒いて家に逃げ込んだところですとツナは苦笑した。
最近平和続きが不満なのかリボーンはよくボンゴレ守護者をけしかけてツナで遊んでいる。
ボスとあろうものならば守護者全員より強くなくちゃダメだからなともっともな事を言う割にツナに死ぬ気弾を撃とうともしない。つまりは完全なお遊びだ。
困るのはリボーンが何を言ったか守護者が本気で自分を狙って追ってくることだ。
獄寺は右腕を出したらすぐに乗ってしまうし、面白いゲーム好きの山本、トレーニング狂の了平もまた然り。
群れるのを嫌うヒバリでさえもツナを捕まえたら相手をしてやるの一言で陥落するし、そして間違った方向で最近ツナの身体を狙っている骸までも加わったらもはやボスで有る無しは関係無くなってくる。
「あなたが私の協力をしてくれるならその守護者とやらを一度に蹴散らす方法を教えてあげますよ?」
にこ、と先程より少しばかり腹黒い笑みを浮かべて風は問う。
「なっいきなりなんですかぁっ!」
「私はね、いつも勝ち気で生意気な黄色の悔しがる顔一度は見たいなぁって思ってるんです。きっと自分の思うようにことが流れない時の彼は年相応の可愛らしい顔をすると思うんです。それに、あなたにだって損はないはずじゃないですか?守護者たちにおとなしくなってもらいたいのでしょう?」
「お断わりします。」
「おや、」
間髪入れずにツナが拒否を返し風は興味深そうに彼を見つめる。ツナは真面目な表情、声音を穏やかなものに一変させ、苦笑混じりに言う。
「確かにリボーンは毎回訳の分からないことに巻き込んでくれるし、みんなに追い回されるのもいろんな意味で凄く怖いです。でも、
それでもオレは皆が大切だから傷つけてまで止めようとは思いません。」
「…良い答え、そして目ですね。さすがはイーピンがあなたを想う訳です。」
「あははっ…ありがとう」
「そんなあなたにはますますこの業を試してもらいたいですね」
「て、人の話聞いてねー!」
「大丈夫です。話を聞いた上で言ってますから。相手に一切傷を負わせずに追い払いたいんでしょう?その要望を満たせる業を知っているといえば…どうしますか?」
「……危ないと判断したらすぐ止めますからね。」
「えぇ。」
にこり、と風はいたずらっ子のような笑みを浮かべ、ツナの肩に乗った。
「やっと見つけた…。沢田綱吉。赤ん坊と戦いたいんだから大人しく咬み殺…ワオ。今日は君もやる気になってくれるのかい?」
「十代目っ…!あなたが全力で来てくださるならオレもあなたのために全力を尽くしますっ」
「…ヒバリに獄寺か…」
「おっツナも本気になったのな!オレも負けねーぜっ」
「極限っ!おまえが向かってくるとはオレも感激だぁぁ!」
「山本、お兄さん…」
「死ぬ気丸を使ったか…珍しいじゃねーか、ツナ」
「クフフ…強い君と契約し契りを結べるなんて…楽しみでぞくぞくします…」
「…リボーン…」
「四方八方…成功した時がとても楽しみです。」
風の指示通りハイパーモードになり、並中校庭に降り立った途端前後左右斜めまでもびっしり囲まれる。そのさまにツナは顔をしかめ、風は至極楽しそうな声を出す。
さり気なくスルーされた骸が「ちょっとぉおっ!僕を抜かすとは何事ですかぁぁ!」と喚いているがツナを始めた一同は綺麗にそれを無視した。
「良いですか、綱吉。さっき僕の教えたとおりに動くんですよ?いかなる場合でもけして心を乱してはいけません。」
「…あぁ、わかってる。」
ツナの耳元でそう告げた風はひらりとツナから離れた。
「お前…風じゃねえか。どういう風の吹き回しだ?弟子を極度に選ぶお前がツナに付くとはな…」
「久方ぶりですね、黄色。ふふ…他意はありませんよ。ただこの子には日頃うちの愛弟子がお世話になっていますから。細やかなお礼です。」
右手の子猿を愛でながらくすくすと笑う風にリボーンが小さく舌打ちをした。物腰の柔らかさとは裏腹に、本人曰くフェミニストなため『直向きな女』しか弟子に取らない風がツナの見方につくとは思わなかったのだ。
「…ツナ…お前が何をするつもりかは知らないが覚悟しろよ。風がお前に付くのならオレは何があっても止めないからな。」
「…。」
「ふふ。心配ならあなたも混ざれば良いじゃないですか。師匠が弟子に負けたならこの先の教育に支障が出てしまいますけどね」
「くだらねえ」
「御託は良いよ。煩わしい。僕は先に行かせてもらうよ!」
なかなか進まない展開に焦れたヒバリはトンファーを両手に構えツナに突っ込んでいく。
ヒバリの闘気に当てられてもツナは手に炎も灯さず彼の攻撃を避け続ける。
「ちっヒバリの野郎!」
「一人に大勢はまずいと思うんだけどなぁ…でもヒバリが行ったらしばらくはおわらねーし…あとで寿司ごちそうすっから許してくれよなツナ!」
ヒバリが向かったのを皮切りに他の守護者も各々殺傷力を最小限にまで押さえた武器を片手にツナへと突進した。
「ぐっ…!」
時折ヒバリのトンファーや骸の槍の柄、山本の木刀の先を身体に受けながらもツナは攻撃を避け続ける。
零地点突破の状態にあるからか時折ツナが地に手を付くたびにその箇所は凍り付いていく。
「風…お前ツナに何教えやがった…」
「ふふ…今にわかりますよ」
先程風によって引かれた白線にそって動いているからかツナの動きは少しばかりぎこちない。
「かはっ…!」
「ほら、避けてばかりだと終わらないよ」
腹部にヒバリの繰り出した蹴を受けるがツナは直ぐ様体勢を戻し白線の上を舞う。
遠目ではその形は分からないが所々に出来た氷でリボーンはある一つの形を連想した。
「あれは…」
気付いた頃にはツナは既に白線の終点に立ち右手には剛の炎を蓄めているのかグローブの水晶が輝いていた。
「螺旋かっ」
「さあ今です綱吉!」
「もらった!!」
誰のものか定かではないがその声と共に全方向から守護者が中心のツナに飛び掛かる。
「ひりゅう、しょーてんはっ!!」
右手に剛の炎を最大レベルに灯し、先程教えられたばかりの掛け声と共に弱い火力のイクスバーナーをを無人の虚空に打ち上げた。
「!?」
異変に最初に反応したのはヒバリだった。
感じるのは一瞬の浮遊感。そして、
「おわっ」
「うおっ」
「んなっ」
「っ!!」
ゴァッ!!とまるで台風が一気にぶつかってきたような音と共にツナの周りにいた守護者は残らず上空彼方に吹っ飛ばされた。
「…え、あれ、皆は!?」
静かになった校庭の真ん中で元に戻ったツナの間の抜けた声が響いた。
「飛龍昇天破…渦巻いた冷気の真ん中での熱気の一撃が眠る龍を呼び覚ます…素晴らしい…やはり条件を極端にしたら可能な技だったんですね…!」
至極興奮したような声色で風は脇に抱えていた一冊の書物を大事にカバンにしまい込んだ。
それは拳法書などではなく、日本人が著者の漫画であったことはツナはおろかリボーンでさえ知る由もなかった。
「じゅーだいめぇ…お見事です…」
「オレ空なんて初めてとんだのなー」
「うむっ極限いかす業だったな!」
「まさかこんな業を出してくるとは…しばらくは正面突破は出来ませんね」
「か…み殺…す…」
学校の裏庭の大きな木には獄寺、山本、了平が引っ掛かり、地面ではヒバリを下敷きにして骸が横たわっていた。
ツナは知らない。
この先リボーンがおとなしくなっても当分の間はこの件の報復に燃えたヒバリが昼夜問わずに襲撃にくるようになることを…。
終われ。
(次は獅子咆哮弾を試してもらいましょうか)
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見る人が見たら絶対わかるマンガの主人公の必殺技をツナでやってみた。ほら、せっかくその型とそっくりな風がお披露目されたし(笑)
というか、ツナだったら炎と氷を両方とも扱えるから理屈的にできると思うのね。
遊びすぎちゃってごめんなさい。
ちなみに四堂的風の人物像は雲雀とそっくりでも性格はある意味で反対。
女の子にはとても優しいです。でも男の人には極端に無関心です。名前すら覚えません。
ゆえにアルコバレーノ内で名前で呼ぶのはルーチェぐらいです。でもスカルをいじって遊ぶのは好きみたいです。(四堂は風スカいいカモって思っています。)
あとは風ピンプッシュです。
ヒバピンはヒバリはできればツナとくっついて欲しいと思ってるから駄目だけど、風とイーピンはぜひともくっつけばいいと思う。
なんか和みそう。
12/05/09
改訂版
口調を変えました。後セリフも若干。
キャラが分かってから風のイメージってKYOの村正みたい。
優しさと、おちゃめさと、ほんの少しの腹黒さ(笑)がいい具合にブレンドしてる、そんな感じ。
だから5月にかいた時と若干性格がぶれそうです。
でもリボーンがすごく風についてしゃべってたわりに風はイーピンのことを否定する時しか反応しなかったからもしかしたら本当にリボーンに対してはドライなのかも(笑)
なんて。
24/08/09