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□拍手御礼に使った文と突発SS
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!多少下品なため気持ちR15

ヒバツナ節分SS

本来の趣旨から外れているなんて今更だ。


それは、2月の3日の昼の出来事である。
ツナはいつものように恋人であるヒバリに呼ばれ応接室に訪れた。


「ヒバリさー…何これ!」

「やぁ、綱吉。早かったじゃない。」

「わぁ凄いっ!このお寿司どうしたんですか?!」

「今日は節分でしょ?昼に食べるには少し早い気もするけど太巻きだよ。」

「だからお弁当持はいらないってヒバード飛ばしたんですね!」

「まぁね。今朝上納品として貰ってね、折角だから君と食べようと思ってね。」

「ありがとうございます!嬉しいです。」


ふわりと花が咲いたように笑うツナを見てヒバリも自然と表情を和らげた。


「うん。そう言えばさ、恵方巻きって知ってる?」

「たしか南南東むいて食べるあれですよね?」

「そう。今年は東北東みたいだけどね。折角だしさ、それにちなんでゲームでもしてみない?」


にたり、明らかに何かを含んでいるヒバリの笑みにツナの笑みがヒクリと引きつる。


「ゲーム…ですか?」

「そう。ゲーム。恵方巻きってさ、食べてる間は無言じゃなきゃダメでしょ?だから互いに食べてる間にしゃべったら負けっての。」

「でもそれじゃあ絶対ヒバリさんセクハラ擬いの事してくるじゃないですか。オレ絶対負けます!」

「安心しなよ。一人ずつ順番に食べる、食べてる相手に触っちゃダメってしてあげるから。」

「本当ですか?!」

「うん。それとも何かしてほしい?」

「いやいやいやっ!!遠慮しときます!」

「照れちゃって、かわい。でも負けたら罰ゲームね?」

「勝ったほうの言うことを聞く…ですか?」

「ふふ、聞き分けのいい子は好きだよ。」


その言葉にあまり良い予感はしなかったが、相手が自分に一切触れないとなれば自分にも勝機があると考えたツナは素直にそれで承諾した。



先攻→ツナ

「ヒバリさーん。お茶入れてきましょうか?」


まずは初歩的に質問を投げ掛けてみたが当然ヒバリは軽くうなずくだけで何も言わない。

(ちぇ、うんぐらいは言うかと思ったんだけどなぁ…)


予想はしていたがヒバリはそこまで甘く無かった。


「よしっヒバード行ってこいっ!」

「リョウカイ!ヒバリ!ヒバリ!オナカスイタァー!」

(なるほどね…鳥を使ってきたのか。)


飽く迄ヒバリにぶつからないように周りをぐるぐる飛び続けるならば、周りを飛ばれる欝陶しさに食べるのを止めるか、振り払うかをするだろう。だがおそらく本当にお腹を空かせているヒバードはたぶんヒバリが餌を与えるまで諦めずに飛び続けそうだ。

それなら早く食べてしまうほうが得策だとヒバリは無視を決め込んで食べるスピードを速めた。


「ヒバード戻っておいで!」


ポケットにあったクッキーを使ってツナはヒバードを引っ込めた。
これ以上はタイムロスだと気付いたのだろう。


(…ちょっと気恥ずかしいけど一か八か…!)


何か決心したように頷いたツナはローテーブルに身を乗り出し下からヒバリを見上げる体勢を取った。
本人は意識していないが疎の体勢は必然的にヒバリを見上げる体勢となりヒバリは食べるスピードを少し落としてツナの方を見た。


「き、」

(…き?)

「きょうや、しゃん…食べてばっかじゃなくてオレのことも構ってください…」
(やばっさんのとこ噛んだ!!)


ツナ本人はミスったと軽く青ざめていたがそれはヒバリには予想以上の打撃を与えていた。


(ちょそこで名前を呼んでくるわけそれにしゃんってなにしゃんってしかも何その体勢ありえない反則すぎる何この子もう食べるの放棄して押し倒しても良いかなてか絶対押し倒すこれはもう誘ってると取られても文句言えないよねあぁでもこれで僕が動いちゃったら…)


句読点が見当たらない辺りヒバリの動揺は思ったよりも激しかったようだ。
一時完全停止して何かを堪えるように震えていたヒバリだったが過去最速のスピードで一気に残り四分の一の太巻を押し込んだ。
そして殆ど噛みもせず飲み込むのと同時にヒバリはツナを掻き抱いた。


「っはぁーー…!僕の勝ち、だね。」

「うぅ…悔しいです。オレはかなり恥ずかしかったのに…」

(いやいや君の所為で理性と本能がデスマッチしてたから。)


理性の勝因は言うまでもなく、『ここで抑えないと後で何も出来ない…!』と言う下心が味方に付いたからだ。


「それじゃあ、次は、君だね。」

「オレだって負けませんよ!」




後攻→ヒバリ

(…おかしい…なんかおかしいよ…)

黙々と太巻を食べながらツナはちらりと正面に座るヒバリを覗き見た。
開始してツナが半分に差し掛かってもヒバリは意味深に口元に笑みを浮かべたままただツナの方をじっと見ているだけだ。


(ヒバリさん、しゃべらないし何もしてこないけど…)


これはこれで落ち着かない。
人間誰だって食べてる姿を注視されるのは好きではないし、ヒバリの場合、浮かべている笑みから嫌な予感しか感じられないから尚更だ。


(もしかして心理的に追い詰めてギブアップさせる気か…?)


これがもう少し大きければもしかしたら分からなかったが幸いツナはあと四分の一に差し掛かったところだ。
出来ればこのまま何も起こってくれるなよと祈りながら食べ続けるツナにずっと黙っていたヒバリが口を開いた。


「…美味しいかい?綱吉」

(…今更?)


質問の意図が分からなかったがツナはとりあえず食べながらこくりと頷いた。
これはまだルール違反ではないはずだ。


「…そう、ほら、もっと奥までくわえてごらん?舌ももっと使って…」

(…まさか…!)


さっと青ざめたツナにヒバリは一層笑みを深め続ける。


「っ…いい子。上手だよ、綱吉」

(この人最悪だぁぁぁぁ!)


吐き出しそうな衝動を抑えてツナは心の中で叫んだ。
とっさにヒバリを見ないように目を閉じたが今思えばそれが最大の敗因だったのかも知れない。


「っあ…そう…綱吉、もっと口を開けて…手も使って…」


ツナが目を閉じたのを見計らってヒバリの言葉がより生々しくなった。
実際、ツナには見えないが、しゃべり続けているヒバリは爽やかでどこか黒く笑ってはいるが至って真顔だ。だがその発せられる声にはとんでもない色が含まれているわけで。
そのため、視覚を閉じてしまったツナが感じるのは色気しか含んでいない声と時折(勿論計算の上で)発せられるヒバリの荒い息遣いだけで。
早い話ツナはいろんな意味で絶体絶命だった。
そこでヒバリは行為を彷彿させることをしゃべり続けつつ気配を消してツナの背後に近づき体が触れないように細心の注意を払いながらとどめとなる決定打を最強レベルの色気とともにツナの耳元で囁く―――――

「わっ!!」


振りをして色気も減ったくれもない声で一言鼓膜を破らない程度の大きな声を出した。


「ふぐぁぁ!げほっごほっ……ひ、ばりさんっ!!」


当然食べる口がとまって頭の中が強制的にいやんあはんな状態にされていたツナは突然の大声に勢い良く口に含んでいた分を吹き出して(幸いあまり口の中には無かったが)、激しく咳き込み息苦しさで涙目になりながらすぐ後ろにいたヒバリを見上げた。


「ふふ、君の、負け。だね。」

「なななっなんてことしてくれんだぁぁぁあんたはぁぁぁ!!」

「君のその素直なところ僕は大好きだよ。それによかったじゃない。あまり残ってなくて。」

「よくねぇぇぇ!」


僅かにツナの口元に付いたご飯粒を舌で舐め取りながらヒバリは福すら招けそうな爽やかな笑顔で鬼も青ざめて逃げ出しそうなことを言ってのけた。


「それじゃあ、これから君のなかに鬼を突っ込んで福を流し込んであげようか?」

「ヒバリさんのバカやろー!!」


勝負に負けたうえ、既に、両手を押さえ付けられているツナには、当然これを回避する抜け道はなかったのは言うまでもない。

余談だがヒバリがツナに課した命令は「行為中はヒバリを名前で呼ぶ事」だったとか。


終われ。


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ヒバリが前半黙ってたのはささやかな情け…ではなく、一生懸命太巻きを頬張るツナを視姦していただけと言う(もう黙って)

痛いのは真昼間からそんなことを考えるヒバリではなく、こんな話を編み出した私(笑)



09/02/04
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