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□拍手御礼に使った文と突発SS
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※ジャンプ18号を妄想して出来た産物です。コミック派の方はダッシュで逃げるように。
―あんたの技うちが完成させてやる―
モスかを大破した技の完成見たさに持って帰ってきた子供こと、ボンゴレ十代目は
「うぶっ?!」
「…3回目。」
想像を遥かに超えて鈍臭かった。
機械愛者の不等式
「…確かにうちの部屋は機械多いし、慣れない奴は大概何かに蹉くけどさ、」
「…あだっ!」
「この短時間にあんた程多く転ぶ奴は今までかつて見たことがないよ。」
立ち上がろうとして裾でも踏んだのだろう。ろくな受け身もとらないまままた転んだ子供は今度は鼻の頭を少し赤くして起き上がった。
「あんたは動かないでそっちいて。うちが行くから」
直したばかりの救急箱を再び右手に掴んで、さあ出動。
良かったね。10分ぶりの出番だよ。
「っう〜。」
「……堪え性なさ過ぎ。さっきの戦いでの方が数百倍痛い目にあったはずだけど…。」
消毒液をひたした脱脂綿を摘んでため息。
細やかな嫌がらせに一番大きな擦り傷には、用量をはるかに越えた量を浸し当ててやった。
「っ〜〜?!」
声にならない悲鳴を上げて大粒の涙を浮かべて痛みを堪える様を見て、誰がつい先程までうちのキング相手に大技ぶっ放した子供だと思うだろうか。
「はい、2度目の消毒完了。あんたのお陰でうちの救急箱は大盛況だ。」
嫌味などではなく、飽く迄で事実を淡々と語ると、子供は恥ずかし気にうつむいて黙々とつなぎの裾を折り曲げていった。まぁ、たぼだぼなんだし懸命な判断だと思う。
「あの、すみませ、ん…」
消毒した回数と呼応して増える謝罪の言葉も、今ではすっかり萎縮している。数十分前、うちの言ったことを聞き返そうとして転んだ時の大袈裟なものが妙に懐かしく感じた。
「別に良いけど、その辺の物壊さないでね。実験台にされたいんなら話は別だけど。」
「は、はいぃっ!」
ミルフィオーレ<モスカ
モスカ=日本人と日本
日本人と日本<]BURNER
もし好きなものを順番に並べろと言われたらうちは迷わずにこんな図を弾き出す。
ならその]BURNERを使う子供は?と聞かれたら正直な話返答に戸惑うかもしれない。
理由は一つ、よく分からないからだ。
確かにこいつも面白そうだと思う、でももしこの状況で作りかけのモスカを壊されたらそれはそれで非常に困るのだ。
「つーかあんたさ、戦いの前後でだいぶ違うよな。さっきの口調と振る舞いはどうしたよ」
「え、と…それは超死ぬ気になっているからで…。」
ひどく小さな声で途切れ途切れに話す様は尚のこと。
軽い牽制のつもりで拳銃を持ち出してみたら、想像以上に怯えて、硬直してしまったのでなぜかこっちの方がひどく申し訳ない気持ちになってしまったくらいだ。(お陰でキャンディー一個減った)
「あの、オレ救急箱直してきます、ね。」
「あー。じゃあその辺の棚にでも…」
「…はい。」
転けないように気を付けているのか知らないが、動きが非常にたどたどしい。
どうすっかねー。技の錬成に入るまでは戦わせる気なかったんだけど…あの錠剤くらいは、手錠くらいは外してやっても良いと思ってしまう。
…やっぱやめた。
折角入江を誤魔化してまで持って帰ってきたのにわざわざ放すような真似はダメだ。
とりあえず精密機械の避難場所くらいは考えておこう。
「あの、ここで良いですか…?」
「ん…?」
オイオイ。さっきうち、散々鈍臭いだのよく転ぶとだの言ったよな。
なのに何でそんな所にいるんだ。
子供はわざわざもと救急箱があった棚まで行っていた。
うちの部屋だからうちにとっては足元のがらくたなんていつもの事。目を瞑ってだってあの辺りを歩ける。
でもあの子供は?
正直な話、無理だと思う。
何もないところでも服の裾を踏んで転ぶくらいだ。いくら、捲っていたとしてもそんなのアイツにとっては確実に意味をなさないだろう。
あぁ、ほら。どんどん落ちてきてる。膝下くらいの高さだった裾が。
「その辺、気を付けたほうがいい。精密機器が多いし、コードがむき出しになってるから。」
「あ、はいっ。」
よたよたと歩く様はさながらペンギン。いや、子供のペンギンでもあれほど危なっかしいやつはいない。
折り曲げられていた裾は、完全に定位置に戻っていた。
「う、…。」
「…届かないなら他の段でも良いよ。」
「あの、他の所も本とかで塞がってるんですが…」
「しゃーない。うちも行くからそこにいて。」
「はい…」
任務を言い渡される時以外は専らメカと一日を過ごしていたくらいだ。
正直な話、この子供は扱いに困る。
「ほら、完了。」
「…すみません。結局手伝わしてしまって…」
「別に、良い。」
何か疲れた。お茶でも入れ直そうか…。
「っわ…」
背後で小さな声がした。
また裾でも踏んだのかね。
「…大じょうぶ…」
その子供が傾いた方向を見て、
「……?」
無意識に手が伸びていた。
腹を抱えられ中途半端な態勢で制止している子供はただただポカンと呆けて視線の先の未配線のコードを見ている。
つーか。軽いな。いくら10年前の姿だといっても、これは予想以上だ。
「あの…」
「……そのまま転けてたら感電死だったよ。」
「…え…。」
あれ?感電死?メカの心配じゃなくて??
何で今、自分がこんなことを言ったのか、あんなことをしたのかよく分からなかった。
さっきからこの子供はぱたぱた転けてたじゃないか。なのに、
どうして、うちは今、この子を助けた?
「あの、…」
「…何」
「ありがとう、ございます。助けてくれて…」
――…
ドキッて…何?
ただこの子供は礼を言ってきただけだ。少しだけ、口が、眼が弧を描いてそう言っただけだ。
なのに、何故?
「嬉しい」と思った?
「すみません」よりも「ありがとう」の方が「嬉しい」と思った?
「うわっちょっあの…?」
「あんた相当転びやすいみたいだからここ立入禁止ね。」
左に救急箱、右に子供を抱えて考えてみた。
Q今一番興味深いものを順番に並べなさい。
ミルフィオーレ<モスカ
モスカ=日本人と日本
日本人と日本<]BURNER
「ねぇ、好きな味何?」
「…へ?」
「キャンディーの味。」
もしかしたら、その隣に新しい不等号と名前を足すことになるかもしれない、なんて、この時のうちは夢にも思わなかった。
]BURNER<沢田綱吉
fin.
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あっは。やっちゃった(苦笑)
ツナのツナギが凄まじくだぼだぼなのを見て、ノーマルツナなら絶対裾踏んづけて転ぶ、萌。なんてよからぬ妄想を抱いて書き上げた物。
そんなツナを見てスパナはちょっとずつツナを気にしだしたら良い…!
08/04/02