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□どっちが取るよ
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!会話のみリバに近い表現有り



右腕を通じて受けた衝撃、顔を上げれば嬉々爛々と自分を見下ろす漆黒が見え、ツナは露骨に嫌な顔をしてため息を零した。
額に死ぬ気の炎は灯っていなければ、勿論毛糸の27手袋がイクスグローブに変わっているわけでもない。だが、恐怖の代名詞、雲雀恭弥に対する態度、そして現在纏っているオーラは確かに骸やXanxusに対峙したときと酷似していた。
脳裏にニヒルな笑みを浮かべる赤ん坊と円盤に乗った子供の姿が浮かぶ。本当に面倒なことになったよとツナは心中でため息をついた。

事の発端は三日前。
今度こそは改良して見せますよと窓を突き破ってジャンにー二が現れたのは、ちょうど空が橙に染まった頃だった。ちょうど調整のため全ての武器を広げていたリボーンは次はないからなと武器を預けた。
直感的に嫌な予感を感じたツナは、学校に忘れ物があると早々と逃げ出そうとしたが、リボーンがそれを見逃す筈も無く、鮮やかな動きでツナをレオンロープで捕らえた。「放せー!!」とぎゃあぎゃあ泣き喚くツナを見たフウ太はご愁傷様ですと合掌し、ツナの姿を見送った。

完成です!!そう言ってリボーンに改造後の死ぬ気弾を渡したのはおよそ2時間後のこと。ツナ曰く無邪気な良い笑顔をしたりボーンにより、ツナは改造死ぬ気弾を受ける羽目となった。

事態が変わったのはその後のこと。

ダンシングする事無く死ぬ気弾は放たれ、いつもの様にツナの額に命中した。だが、5分、10分経ってもツナの眼が覚めることは無かった。11分目でどういうことだとリボーンがジャンニーニを締め上げるのと同時に、ツナの身体がむくりと起き上がった。

「……起きんのがおせーぞバカツナが。」

実は本当に死んだのかと心配したこと、及び無事に起きて安心したということは全て隠し、リボーンは起き上がったばかりのツナに蹴りを一発食らわせた。脱皮して下着姿になってい上に、死ぬ気の炎も灯っていない。今回も失敗だなと視線を再びジャンニーニに移し、文字通り締めようと拳を振るうが、

「オレはずっとヤダって言ってた。つーか少しは心配できないわけ?」

泣き言や突っ込みという形ではなく、だからといって心の声でもなく、ツナは確かにリボーンにそういった。おまけに気だるそうなため息までついている。
生意気な口聞くじゃねーか。にやりと笑みを浮かべ振り向いたりボーンはツナを見て元より大きな瞳をもう一回り大きく開いた。

「ツナ…お前今どっちだ?」

「…?」

怪訝そうに見つめる瞳が”何の事だ”と語っていた。復活はしたが、撃つ前となんら変化は無い。無理やりつけさせた27手袋もそのままだ。だが、大きな瞳は据わり、穏やかに変わりは無いが隙の無い雰囲気をかもし出し、ツナを取り巻くオーラはハイパーモードの時の物に似ていた。
撃ったのは小言弾ではない、死ぬ気弾だ。ジャンニーニから手を放し、ひらりと宙を舞う。そして、落下の勢いと共にリボーンはツナに踵落しを仕掛けた。
直後、重苦しい音が部屋に響いた。予告も無くただ唐突に仕掛けた踵落し。普段のツナなら受けることはおろか避けることなど到底不可能だ。だが、ツナは攻撃を食らってはいなかった。右腕でリボーンの攻撃を受け止めたのだ。

「やるじゃねーか。」

「…相変わらず手加減ないね。氷取ってきても良い?すごく痛い。」

赤黒くなった痣を撫で、抑揚の無い声でツナは言う。
ハイパー死ぬ気モードと、ダメツナの合成モード。これはこれで面白そうだとリボーンはジャンニーニを完全に解放した。
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