Text2

□こんな犬で大丈夫か。
1ページ/2ページ


!雲雀がえげつないレベルにキャラ崩壊します。
!ヒバリさんが犬化します。これで予想できる最悪のパターンを頭に思い描いた人のみお進みください。
!苦情は全力で遠慮します。







1.こんな犬で大丈夫か

「相変わらずだらしね―な。」

自室ですりむいたひざを手当てする綱吉に窓から帰ってきたリボーンがため息交じりに呟く。
いきなりの苦言に綱吉は分けが分からないと首を傾げた。

「うるさいなー帰って来て早々一体何なんだよ!」
「その傷、隣のハナに吠えられて腰抜かして転んで出来た傷だろ。隣のチワワのハナに。」
「なっ!見てたのかよ!良いじゃん!オレが犬嫌いなの最初から知ってるだろ!!」
「やかましい。」

ぼっと顔を赤くして食ってかかる綱吉を銃声一発で宥め、また深くため息をつく。

「聞けばお前山本の匣もダメらし―じゃねーか。じゃれつかれて腰を抜かしたんだってな。ボンゴレボスとあろうものが小型犬、中型犬にビビるとあったら笑い話にもなんねーぞ。」
「うっうるさいなぁ!大体ボスになんてなるつもりないんだからほっておいてくれよ!大体なんで今になってそんなこと言うんだよ!」
「決まってるじゃねーか。こいつを試したいからだ。」

にやりと笑ったリボーンが懐から取り出したのは今まで見たことのない弾だ。小さく子犬の柄がプリントされているのを見て綱吉の超直感が警鐘を鳴らす。
これはきっと、ろくな事がない、と。

「物凄く嫌な予感しかしないけど…なにそれ。」
「犬化弾だ。ジャンニーに作出来たてホヤホヤだぞ☆」
「…まさかそれでオレを犬にするとかいわ無いよな?!オレ絶対嫌だからな!」

対リボーン用に常備しておいた古くなった中華鍋をシールドに綱吉が後ずさる。そんな綱吉に不敵な笑みを見せたリボーンは鼻歌交じりに綱吉に当たらないように実弾で中華鍋を数発撃ちぬく。

「ひぃい!!」
「近いけど外れだ。お前の犬嫌いを克服するのにお前が犬になっても意味ね―だろうが。野良犬に掘られてトラウマになるのが落ちだ。」
「何その酷い未来予想図」
「事実だろうが。なんなら試してみてもいいんだぞ。」
「謹んでご遠慮させていただきます」
「まぁ今回使うのはヒバリだがな」
「この上ない人選ミス!!なんでヒバリさん?!もっと他の人いないのかよ!獄寺君とか獄寺君とかさ!!」
「お前も大概ひでぇな。まぁオレも最初は獄寺にしようと思ったが。確かに獄寺はツナの忠犬としては申し分がねぇ。体格的にもゴールデンレトリバー辺りを期待できる。だが、問題がある。」

ボルサリーノを目深にかぶり、一拍置く。
いったい何が問題だというのだ。突如発生した深刻な雰囲気に綱吉もつい固唾をのむ。

「なんだよ。」
「今あいつはダイナマイト補充でいない。」
「そうでしたーーーーーー!!!!」

3日前に爽やかな笑顔でダイナマイトの仕入れに行ってきます、何かあったらオレすぐ駆けつけますんで心配しないでくださいね―!と言いながら獄寺を見送ったのだった。今まさに何か起こりそうなのだが来てくれないだろうかと綱吉が心の中で念じるも、リボーンにイタリアと日本の時差を考えてみろと水を差され断念する。

「ついでに言うが山本は部活がある以上犬にするわけにはいかねぇし、ランボじゃ何をしでかすか分からねぇ。クロームや京子を犬にしたくもねぇダろ。それに京子が心配するから了平もダメだ。そうなったらヒバリしか残らね―じゃねぇか。」

それは暗にヒバリなら別に心配するやつがいるわけでもないし大丈夫だろうと言ってるのと同義な気がするのだが…。口に出したところで悪いことしかないため綱吉は口をつぐむ。

「…まぁ、確かに。え、ちょっとまって、もしかしてオレ犬になった誰かと何日か過ごさないといけないの?」
「1週間だな。弾の効き目の設定をしくったようだ。」
「それにヒバリと話はもうつけてあるぞ。」
「嘘つけ!どうせ応接室に殴りこんで問答無用でぶっ放すつもりだろ!」
「違うぞ。窓を見てみろ。」

そう言われて右を向くと同時にがらりと窓があく。そこにはやぁ、赤ん坊と軽い挨拶をしながら相も変わらず土足で入ってくる雲雀がいた。

「ひ、ひひひヒバリさん!?なんで?!」
「やぁ。小動物。赤ん坊に聞いたよ。君、小型犬に追いかけられて逃げ回って滑って転んだんだって?ライオンを手懐けてるくせに変わってるね。」
「ちょ、脚色されすぎです!リボーンのお前ヒバリさんに何言ってんだよ!ていうかヒバリさん分かってるんですか!?こいつ今からヒバリさんに犬になる弾丸ぶっ放すつもりなんですよ?!」
「聞いているよ。一週間動物の姿にされるのは不愉快この上ないけれど…やったら赤ん坊が本気で戦ってくれるって言ったからね。ね、赤ん坊。」
「あぁ。オレだけじゃ不満なら風も呼んでやるぞ?」
「ワオ。それは良いね。でも一気に二人も相手にしちゃったら後の楽しみが減るからね。君一人で手を打ってあげるよ。」
「話が分かって嬉しーぞ、ヒバリ。」
(ヒバリさんあっさり買収されてる―!!)

しかも過去の経験から言うとリボーンがこの約束をまともに守ったためしがない。きっと後になって先に超モードの綱吉と戦って勝てたらな、とでも言ってはぐらかすのだろう。それを今言ってしまおうかと思ったが、口を開くと同時に弾丸が頬を霞め、綱吉は情けない悲鳴を上げる。
涙目でリボーンの方を見ると、雲雀に顔を向けたまま銃口だけがこちら向け、ちらりと一瞥。
その視線には「余計な事を言うと殺す」という殺気がこもっていた。
綱吉は悟った。これは確実にリボーンは約束を反故する気だと。

「まぁ犬っつっても外見が犬になるだけで普通に喋れるし、余計な語尾もついたりしねーぞ。まぁハンバーグは食えなくなるがな。あくまでツナに犬慣れさせるのが目的だからな。外見だけ変われば十分だ。」
「へぇ。それはいいね。トンファーを使えないのは残念だけど発達した牙や脚を使うのも悪くなさそうだ。」

それじゃあさっそく、とリボーンを銃口をヒバリに構える。それに特にひるむ様子もなく、寧ろのんきにあくびをしながら構えるヒバリはふ、と思い出したように言った。

「ねぇ、どうせ打たれるなら君と今戦いながらがいいんだけど。」
「そりゃ、1週間お預けだな。」

に、と笑ってあっさりと断ったリボーンはかちり、と引き金を引いた。

のどかな昼下がり、乾いた銃声が一発こだました。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ