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□交わらない思惑、更衣室の攻防
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!大人雲雀♀×大人綱吉♀
!現代パラレル
!綱吉♀→アラウディ要素あり









「君さ、そんな貧相な体であいつが振り向くと思ってるの?」

確かにあの人は自分には到底届かないところにいる完璧で素敵な人だけど、
確かにバカにした顔で自分の致命的なコンプレックスを指摘する彼女はスペック、容姿ともに非の打ちどころのない完璧人間だけど、
確かに自分は容姿もスペックも並以下の出来損ないだけどっ!

「…お言葉ですがヒバリさん、…アラウディ部長は容姿だけで人を判断する様な人じゃないと思いますが」

クリティカルに身体的なことにまで口を出してきた雲雀にに、腹立つくらいに完璧で、嫌味なくらい厳しい先輩の言葉に綱吉は無性にはむかいたくなった。
これはそんな更衣室での静かな攻防の話。





沢田綱吉24歳。とある新興中小企業の新卒新入社員。
上司であり、会社を驚異的なスピードで成長させているCEOでもあるアラウディに仄かな恋慕を抱いていて、一期分先輩で僅か1年で実力のみで部長レベルにまでのし上がった雲雀恭弥のスパルタで嫌味たっぷりの指導を受けている。
尊敬はしている。でも好きじゃない。普段散々世話になっている先輩に対してとんだ言い草だが、残念ながらそれが綱吉の雲雀に対する個人的な評価だった。
自分が思いのほか出来の悪い人間だということは理解している。だから仕事でミスをしようものなら痛烈な御咎めは受けて然るべきだと理解している。
だけど、いくら直属の先輩だからと言って普段の動きの機敏さや、食事の速さ…仕事とは直接関係のない事柄でどうこう言われる筋合いはないと思っている。
いちいち細かくて嫌味な先輩。ただでさえそんな印象が強いのに、綱吉がアラウディに恋愛感情があると知るや否や雲雀の綱吉への嫌味はますます長く、ぴりぴりした痛みと不快感を増してくるようになった。
早く指示をくれ。余計な話はしないでどっかいけ。音をあげて止めるほどヘタレではないけれど、場所をわきまえずうがー!と叫んで頭をかきむしりたくなるくらいには綱吉は雲雀のことを忌避するようになっていた。

折角今日はアラウディさんと少しだけお話が出来たのに、書類の出す際の彼女独特の一工夫が嫌いじゃないと褒めてもらえたのに。ふわりふわりとご機嫌よく浮かんでいた綱吉の気分はそんな雲雀の一言で音を立てて急降下した。
いつもは私服に着替えるのが面倒だからと窮屈な仕事着のまま帰るところだが、この日はたまたま飲んでいたコーヒーをぶちまけてシャツを汚してしまっていた。シミにならないためにも定時上がりで帰る準備をする際にシャツを脱いで、添えつけの簡易キッチンで軽く洗ってから着替えようと思った。
汚れも薄くなった、さぁ着替えよう。そんなタイミングで鉢合わせてあのセリフだ。明らかに年の割に慎ましやかか胸を見ての発言だと綱吉の機嫌の表情は不機嫌を顕わにする。そんな表情すらも、はっと嘲笑交じりの微笑みであしらってくるだけで雲雀には全く効果はないのだけれど。

「へぇ、じゃあ中身だけであいつをモノにする自信あるんだ。新卒採用で歴代最低の出来の悪さを誇る君がね…。」
「……」

なけなしの反撃に対する更なる一撃。痛すぎるところを突かれてぐうの音すら出やしない。綱吉とてダメ社員なりに雲雀に指摘されたところは全部漏らさずメモに書き起こして、作業前、作業後、提出前のチェックリスト、計画表まで作って、地道にダメ返上を目指して頑張ってはいるが…そんなこと言ったところで結果が伴っていなくては意味がないと返されてしまうのが関の山だ。ますます自分がみじめになるだけだ。
長引く攻防に沈黙という名の白旗を上げて、黙ったまま手早く帰宅の準備をして、お疲れ様です、お先に失礼しますという敵前逃亡を図ろうとするが、それすら許すつもりのない雲雀は鞄を持たない綱吉の手を掴んで引き止める。

「…離してくれませんか」
「やだ」
「…オレのこと邪魔ですか?ヒバリさん実はあの人と付き合ってるとか?」
「あの鉄仮面には別に興味ないよ」
「…オレのこと相当嫌ってます?出来の悪い後輩ですみませんね」
「うん。出来が悪すぎていっそ感心したくなるくらい」

まぁ別に嫌ってはいないんだけどね。相変わらずのマイペースで話しながらも綱吉を掴む手はがったんと更衣室のロッカーに押し付けて、ぷちぷちと来たばかりのシャツのボタンを外している。
なにしてんですか。状況を理解して文句を言おうとした頃にはボタンは全開、A75のバストと、お子様柄のブラジャーが彼女の目の前に曝されていた。

「…ワオ。思った以上に小さい」
「そ、そんなまじまじ見ないでくださいよ!セクハラで訴えますよ?!」
「上半身まっぱでしみ抜きしてた君がセクハラね…。貧相なもの見せられた僕こそセクハラで訴えたい気分だよ」
「うぐっ」

だってロッカー開ける前に脱いじゃったんだもん。気が付いた頃にはシャツ濡らしちゃってたんだもん。
ぐるぐる言い訳にもならない言葉を脳内でめぐらせている間にそんなにもド貧乳が珍しいのか雲雀は興味深げに片手でぺたぺたと形を確かめるように胸を触り、つんつんとブラジャーの中に無理やり押し込んでどうにかふっくらしているように見せている乳房に触れる。
何するんだ、離せ。この場に限り敬語を放棄してその無粋な手を振り払いたいけれど生憎肝心の両手はもう片方の雲雀の手にまとめて押さえつけられて動きを封じられている。どうしてびくともしないんだ。いろいろおかしいだろ。心底疲れた顔をしながら雲雀のわけのわからない一人遊びが終るのをただひたすらに待ち続けた。

「僕ね、思うんだ。やっぱり男を落とすには色気も必要だと思うよ」
「ヒバリさんには有り余ってますもんね、色気」
「だって考えてみなよ、こんなふうに、胸押し付けられて揺れない男っている?」

何をとちくるったのか、ぷちぷちとあたかも自然な流れであるかのように雲雀もシャツのボタンを一つずつ外し、レースも飾りもない真っ黒なブラに覆われた胸があらわになる。日焼けしていない真っ白な肌に真っ黒のブラがやけに映える上に見ただけでも容易にわかるくらいまろやかな隆起を描き、触れるまでもなく柔らかそうなふくらみを覆い隠しているその様に、女である綱吉もこくりと生唾を飲み込んだ。そんな綱吉にダメ押しと言わんばかりにそんなご自慢の胸をこれ見よがしに自分の胸へと押し付けられまるで男を誘惑するかのように挑発的な上目づかいでしな垂れかかられてはいくら同性だと言えどある種の居心地の悪さを感じる。
ブラ越しでよかった。こんな凶悪なもの生で押し付けられたら嫉妬やらなんやらいろんな感情が鬩ぎたってどうにかなりそうだ。ほんのりと顔を赤くして、当惑しながらも綱吉は思考をそらすようにそんな事を考える。

「ふふ…女の君でもたまらないって顔してる。赤くなっちゃって…可愛い」
「えっ…やっ?!」

ぷちんと何かが軽い音を立ててはじける音がして、その後に訪れた胸元の解放感。元々緩んでいたのか、止め方がまずかったのか、フロントホックのブラの留め具が外れはらりと浅い隆起の無防備な胸があらわになった。
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