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□キス恋?!
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「骸の奴…獄寺よりも大げさだったな。」
「言わないでやれ。」
「あの、ボス…何かあったの?骸様泣いてたけど…」
「取り敢えずクローム。今日は早くここから逃げて?今ヒバリさんすごく危険だから。クロームは女の子だからきっと骸以上に傷ついちゃうし、ね?」
「…?よく分からないけど、ボスがそう言うなら。またね。ボス」
基本的に素直にツナの言うことを聞くクロームはたいした説明をしなくても、納得し、骸が入ってきた窓を通って帰っていった。
「ふー…やっと嵐は去った。」
「まだだぞ。」
ギュルッ
「……………へ?」
手首に巻き付いた玉鎖。鎖を辿るとそこには雲雀がいた。
「まだ君が残っていたね」
「えっオレ?!いや待ってヒバリさん…別にオレみたいなちんちくりんじゃなくても、まだシャマルもいます、よ…?」
「あいつならとっくの昔に逃げたぞ。野郎とキスするなんてごめんだってな。」
「ゔぉお゙いっ!!何だよソレ!つかやだ外れないっ…!」
ガシャガシャと鎖を解こうとするが更に絡まり外れようとしない。その間にも雲雀は距離を詰めてきている。
「いやっ雲雀さんっ本当待ってください、タンマですっ!寧ろヒバリさん自身のためにもやめてください!!絶対後悔しますから!!!!」
「ふふ、い・や・だ。折角君を一番最後に残したんだから。」
楽しませなよと撫でられる頬に、背中にぞわりと悪寒、戦慄、興奮…識別不能な何かが通り過ぎた。
心なし、今の一瞬で体温の半分以上がここに終結した気がする。
(つか一文字区切りがいやに色っぽいんですけどぉお?!)
「リボーンさんっ!」
「獄寺君?!もう大丈夫なの?!」
「お前目を覚ましたのな」
ひくひくと震えながら、どうにか起き上がり、獄寺はリボーンのほうを見た。
雲雀を一生懸命視界に入れないようにしているさまが、獄寺の精神的ダメージの深さを物語っていた。
「お願いです。十代目を助けてやって下さい…。この獄寺隼人、雪よりも純白な十代目の純潔がが雲雀の毒牙にかかるところなど見たくありません。」
「思い切り私情だな。」
「でもよ、ツナって確か事故で保健医のおっさんに初物盗られたんだよな?二人目もこれじゃあ流石に嫌じゃね?」
「…まーな。」
「なー小僧、助けてやってくんね?今度寿司食わしてやるからよ。」
「…乗った。」
「オレは何か献上しないと救う価値のない人間ですか。」
「んー…少なくともオレらは無条件で助ける気だったぜ。」
「うるっせーな。ガダガタ言わずに全力で逃げてみやがれ。」
リボーンの放ったゴム鉄砲が雲雀の手に当たり衝撃でトンファーを掴む手が一瞬弛んだ。
「今だツナ走れッ!!」
「本当にありがとう!!恩に着るよっ山本ッ獄寺くんっ!」
山本の声と共にツナは勢い良く雲雀の手からトンファーを引き抜き鎖でブラブラ引きずったまま保健室を飛び出した。
「…鬼ごっこっ、てことかい?」
「あぁ。お前が元に戻るまで、40分以内に捕まえることが出来たらツナを好きにしていいぞ。」
「なっリボーンさん!!それじゃあ十代目が…!」
「そう慌てんな。ツナは死ぬ気丸を持ってるはずだ。逃げ切る可能性がないわけじゃねぇ。」
(最も、40分経って効き目が切れてもヒバリが止めるとは限らねーがな。)
雲雀の深層心理に埋もれたある感情に気付いたリボーンは声に出す事無くそう付け足した。
「十代目…どうかご無事で」
開け放たれたドアを見て獄寺はただツナの無事を祈った。