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□キス恋?!
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視線に気づいたリボーンは、ピクリと一瞬眉を上げた。
「…その様子だと次はオレか?」
「うん。嫌かい?」
(ヒバリさんリボーンにだけはめっちゃ下手だっ!!)
こきりと首を傾げて伺いをたてる雲雀にツナはこの人どんなけリボーン贔屓なんだと内心で突っ込んだ。
「ね、ダメ?赤ん坊」
「してやっても良いが主導権はオレ持ちだからな。」
「仕方ないな。君なら良いよ。」
(山本ぉぉ…ヒバリさんかなり理不尽だよぉ…)
突っ走ったために蹴られた山本は未だ痛みが引かないらしく蹲っている。そんな山本を見てツナ、合掌。
今度焼そばパンでも奢ってあげようと思う。
そして、知らぬ間にやたら無闇に大人な雰囲気を放出する2歳児と推定15歳。
「オイボーズ」
「わっシャマルっ?!」
突如真っ暗になった視界。ソレは両手で自分の目をふさぐシャマルによるものだと数秒遅れて理解した。
「いきなりなんだよっ」
「いや、な。トラウマになりたくなかったらあいつらのキスシーンは見ねーほうが良いと思ってよ。」
「えぇっ!?いくら何でもリボーンだ」
「ん、ぁ…、ぅ…」
(ひひ、ひヒバリサァァァァアン?!)
直後耳に入った色香を含んだ雲雀の声+いかにもーな水音にツナの目玉は飛び出し注意の状態だ。
「おーおー相変わらずじゃねーか。」
「ちょっシャマル!!何が起こってるんだよ!や、今見てはいけない何かがあるってオレの超直感が言ってるけどなんてーか恐いもの見たさ?とにかくすっげ気になんだけど!」
「あっオイコラボーズッ!!ったく…後悔しても知らねーぞ?」
危機感よりも好奇心が勝り、自分から手を剥がしてしまったツナにシャマルは思わずため息を吐いた。
急な眩しさから立ち直ると同時に、ツナはとんでもないものを目の当りにした。
「っふ、はぁっ!…最高だったよ、赤ん坊ッ…!」
「…………………。」
「ん、どうしたボーズ。おーい…」
目の前で手の平をかざしても、ツナは反応しない。同じく一部始終を見ていた山本もぽっかーんと口を開いて固まっていた。
「ッオイ!!ボンゴレッ何があったっおめー何を見たんだ?!」
「ヒバリさんが、…リボーンとキスして………腰砕け」
「だーから言ったじゃねーかトラウマになるって!あいつの4人の愛人持ちを嘗めちゃあいけなかったんだよ!!」
「ちょ、シャマルどうしよう。オレこれ以上何か起こってもついていけない。」
「オイオイ。オレは突っ込み役はごめんだぜ。」
「次は君、」
「綱吉くーん。」
窓の外から聞こえたKY的能天気な声にツナだけでなくシャマルも至極面倒臭そうな顔をした。だが、彼の声が次の相手を指そうとしていた雲雀の声を遮ったのも事実であったため、ツナは仏の心をもって窓を開けてやった。
「ボンジョルノ愛しの綱吉君。疲れた顔もまた可愛らしいですよ。」
「…お前何でこんなところに…」
能天気な声の主、骸の怒濤の口説き文句を綺麗にスルーして取り敢えず用件を聞いてやった。
「今日こちらは午前授業だったので君をデートに拉致りに来ましたっ」
「午前でも午後でも深夜でも行かないからねオレは。つか頼む。骸。今日は帰れてか帰ってくださいお願いしますから。」
「おやおや今日の君はつれないを通り越して何だか人生そのものに疲れてる感がしますよ?」
「あー。安心しても良いよ。お前と話すときはオレの人生総動員で疲れてるから。」
「それに君がことが悪化する前に敬語でモノを頼むとは珍しいですねぇ。明日には雨が降るかもしれません。」
「うんわかった。御託は良いからまずは帰ってくれませんか、お願いします」
「嫌ですよー。帰れ帰れといわれておとなしく帰る性格ではないことくらい知ってるでしょうに。」
「本当今日はお前がいると深刻に事がややこしくなりそうでやばいんだっ!!あーもうどうしたら伝わるんだ――?!」
ぐい、と腕を引かれ、いつのまにいたのか視界を黒が遮っていた。
「…ヒバリさん?」
恐る恐る声をかけるも、後ろを向いているので雲雀の顔は見えない。
「おやおや。今日も懲りずに君は僕と綱吉くんの邪魔をするんですか。」
「……。」
にたぁり。口元だけが弧を描いて笑ってるようなそんな気配。
―超直感警鐘、最大。
雲雀の意図を直感で感じ取ったツナは背中越しに声を張り上げた。
「骸ッそれ以上ヒバリさんに絡むなっ!!今すぐ離れろ!」
「えー…むぐっ?!」
時既に遅し。
骸がツナの制止に反応する前には既に雲雀は骸の髪の房部分を鷲掴んでいた。
「っ貴様…!ん゙ーっ?!ゔぅ〜〜ん゙んー!!」
くぐもった声しか聞こえないが取り敢えずツナは今骸は限りなく必死に抵抗していることが分かった。
2人称が貴様になっているのだから余程なのだろう。
彼此3分程はその状態が続いていた。
嫌いなな筈の相手へのキスが過去最長なのは嫌がらせなのか実は好意があるのか実に微妙なところだ。深く考えたくもないが。
「つ、綱吉……く、ん…」
解放された骸は色々と憔悴していた。ソレばかりか本気で泣きに入っている。
「えっと、あの………生きてる?」
「綱吉く、ん…僕、ちょっと輪廻巡ってきますね、2周程。」
綺麗すぎる笑顔で絶望的なことを行った矢先、骸のからだがゆっくりと透過していく。もはや実体を保つのも困難なのだろう。
ひどく悲しい爽やかな笑顔を最期(違う)に、骸は姿を消した。