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□burning lonely boy
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「熒惑…?寝てるのか?」
発火元は熒惑と見てまず間違いないだろう。
大方昼寝の最中に寝ぼけて炎を出したといったところか。
真偽は本人に聞いた方が早いな。
まずは、起こしてしまおうと肩に触れた。
「あつっ?!」
反射的に手を引いた。
指からは細い煙が昇って、皮が少し焼け溶けていた。
熱い…ソレも半端じゃなかったぞ?!
死合いで爆炎を度々受けるがソレと大差が無い。
寧ろそれ以上と言っても良いぐらいだ。
何故だ?!服越しで肩に少し触れただけだぞ!!
手に幾重に水龍を巻きつけ、直接額に触れた。
「…なっ……」
水が一瞬で蒸発した。
辰龍水は沸点を遥かに上回ろうと蒸発なんてしたことが無かったのに…
服の上からでも、僅か数秒で熱湯になった。
「っは……ハァッ……ハ…」
ちゃんと見ていなかったから気付かなかったが、呼吸の間隔が不自然に短い。
「体調を崩して弱っているのか…?」
そのために、能力の制御が出来なくなり炎が暴走し自身の身体も熱に蝕まれてるということなのか…?!
くそっコイツが風邪を拗らせる所すら見たことが無いこのオレに分かるはずが無かろう!!
「っふ……ぅ……」
とにかく、部屋に運んで寝かせよう。
ぐったりと壁に背を預け動かない熒惑を抱え上げようと背中に手を回した。(勿論自分の身体を水龍で守ってだ)
「ん……」
持ち上げようと力を入れると同時に熒惑の眼が開いた。
「熒惑!気が付いたか。今のお前の状況は良く分からんが、とりあえず部屋まで運ぶ。立てる……?!」
身体から手を離し、声を掛ける。
その最中に殺気を感じ、オレは慌てて間合いを取った。
「何のつもりだ…」
一瞬オレの目の前を横切った熒惑の右手には刀が握られていた。
オレの質問には答えず、熒惑は刀を振り乱し襲ってくる。
「っち!!」
軽くした打ちし、水を召喚し、舞曲水を形成した。
「一体何のつもりなんだ?!貴様今の状態で動いたらどうなるか分かっているのか?!」
俯いていて熒惑の表情が読めない。
俯いていなくとも正確に把握できる自信はないが。
オレが話している最中でも構わず切りかかってくる。
刀を振り回すたびに、反動で、自身もふら付いている。