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□拍手御礼に使った文と突発SS
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愉快なウサギ達とカメ。
その1。ウサギの分際で性格肉食動物ってどーよ?
ひょんな事からカメのツナ君はウサギの雲雀さんと徒競走をすることになってしまいました。「やりたくない」と言う前に何故かカメの格好をしたリボーンはスタート合図のピストルを放ちます。
ウサギの中でもかなり凶暴で危険と言われている雲雀さん、さっさと終わらせてリボーンと戦いたいとスタスタ歩いていきます。
歩いているとはいえ、その一歩はツナ君の一歩の数倍は進むので、たちまち雲雀さんの姿は点になってしまいました。それでも、ゆっくりながら地道に進んでいくツナ君は2時間ほど歩いて、ようやく雲雀さんに追いつきました。
「(…寝てる。)」
ご丁寧に「起こしたら咬み殺す」と地面に書き、雲雀さんは岩に背を預け眠っていました。リボーン以外の全ての生物に無関心な雲雀さんがツナ君のために待つこと等ありえません。ちょっとぐらい眠ったって余裕で勝てるだろうと高を括っているわけでもありません。ただ、眠くなったから寝る、それだけなのです。
「(とにかく…起こしたら咬み殺されちゃうし…)」
お先に失礼いたしますと軽く一礼してツナは雲雀さんを通り過ぎて行きました。
さらさらと温かい風がうんせうんせと進むツナの頬を撫でます。ひゅるるーとツナ君の髪の間を抜けていった風は木の葉を揺らし、
プッ
木の葉を一枚落としました。
「…え。」
ほかの動物よりも遥かに優れた直感力でいち早く身の危険を察したツナ君はそろりそろりと歩みを進めていきます。どうか気づきませんように、と。
さて、並盛の森にはこんな暗黙のルールがあります。“眠っている雲雀の半径100メートル以内に入るな”と。
ウサギの癖に寝起きの悪い雲雀さんは木の葉の落ちる音でも目を覚ますという肉食動物顔負けの特徴があります。それは、朝だろうが昼だろうが夜だろうが、たとえ競争中のサボりの間でも例外に漏れることは無く、
「起こしたら咬み殺す、そう言ったよね?」
起き上がると共に闘争本能のスイッチもばっちり入ってしまった雲雀さんは理不尽な白羽の矢を10メートル先のツナに向けます。
「ひひひひひひひひ、ヒバリりりりりさ…」
たとえ10メートル離れていても強烈な雲雀の怒気に当てられたツナは壊れたラジオのように名前になってない名前を呟きます。
「覚悟はいいかい?」
トンファーを構えヒバリさんがものすごい勢いで走ってきました。普段は四六時中仏頂面で眠そうなウサギですが、このときの顔はウサギの天敵の狼どころか、般若も阿修羅もびっくりする位の恐ろしい笑みを浮かべ、舌なめずりをしていました。
「ぎゃぁあああああ?!?!?」
本人なりの全速力で少しでも雲雀さんから逃げようとツナ君も走り出しました。
ツナ君が既にゴールテープをくぐってしまい、徒競走の勝負はツナ君の勝ちという形で決まりましたが、そこでは当然新たな勝負が現在進行形で行われているわけで、…
「捕まえた。」
深々と地面に刺さったトンファーでツナ君の行く手が阻まれます。
「んな?!」
直後ぎゅるりとトンファーから伸びる玉鎖がツナ君の体に巻きつきました。
「さぁ、僕と遊ぼうか?」
間近で見た雲雀さんの笑顔は狩をするときの狼みたいにとても生き生きとしていました。
九死に一生を得たツナ君は後にそう語ったとか…。
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超突発ウサカメ第一弾。雲雀ウサギと、ツナカメでした。