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□拍手御礼に使った文と突発SS
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足に何かがいる

少年はゆっくりと後ろを向きました。
黒い黒い人が一人、大きな鎌を持って少年の足元に座っていました。
ひゅん、と風が吹いた時、少年の足が無くなりました。
動くことの出来なくなった少年は大きな声で泣き叫びました。
いなくなった大好きな名前を声が枯れても叫び続けました。
ふわり、と泣き叫ぶ少年の上に何かが落ちてきました。
ずし、と重く赫くなったソレは、大好きなあの子のものでした。
小さな声を幾度なく漏らし、最後に少年は叫びました。


「っヤダァあああ!!」




「怖い…けど、ほたるを連れて行かれるの、ヤダ。だから、見つからないように隠れるの。ほたるを離さないように掴んでるの。」


話し終えた頃には、辰伶は声を殺して泣いていた。
怖い夢で目覚めた直後は、全てのものに恐怖を抱く そんな子がいたとほたるは幼稚園でのお昼寝の時間を思い出した。辰伶もそのタイプなんだろう。


「ほら、とにかく出ておいでよ。」

「やだっやだぁ!」


いやいやと首を振って暴れる辰伶を無理矢理布団の外に引っ張り出した。
何だかんだ言っていても、篭る布団の中が苦しかったのか、出て早々深い呼吸を繰り返し、手当たり次第に酸素を貪っていた。


「ほら、やっぱり苦しかったんだ…」

「やっ…」

「分かったから、こっちおいで」


ぎゅっと辰伶を自分の胸に抱きこみ、諭すようにゆっくりと耳元で言った。


「何も見たくないんなら、見なくても良いから。でも、オレの目の前からいなくなっちゃダメていうかヤダ。それに、服を掴むだけじゃオレ、すぐに連れて行かれちゃうよ?」

「や、行っちゃやだ…」

「怖いんだったら、ずっとぎゅってしてるから、だから、うん、おやすみ?」


まだ何か言いたそうな辰伶の頭を些か乱暴に撫で、それ以上の受付をシャットダウンして拒否をした。


「………うん。」


安心したのか、ふふっと小さく笑うとありがとう、と呟いて辰伶は眠ってしまった。




怖い夢も悲しい夢も全部全部オレが引き受けるから、


「お前だけは笑ってて…」


祈るように額に口付け、ほたるも、辰伶の後を追うように目を閉じた。


とりあえず、もしオレの夢にも出てきたら、まずは一発蹴っ飛ばしてやろ。
そう決心して眠ったら、オレどころか辰伶も悪い夢を見なくなった。




……辰伶可愛く弱くしすぎたかなー…
現代子供設定にするとどうしても加減が出来なくなる。
怖い夢を見た後回りの全てのものが怖くなる。
四堂も子供のときそうでしたが、他にそんな子、いますかねぇー…
もしいなかったら、結構無理があるネタになるなー…
まぁ、突発だし、いっか。

2007 1.6
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