Text
□拍手御礼に使った文と突発SS
13ページ/42ページ
※読んだ人もいると思いますが、「おつかいでーと。」並に甘いです。
仔辰伶と言う設定に甘えまくっています。嫌な方はご注意を。
「っヤダァあああ!!」
am4時、まだ薄暗い空が広がる中、ほたるの横で眠っていた辰伶が、悲鳴と共に突如目を覚ました。
数回荒い息を吐いてぎこちなく、辺りを見渡した。
安心して、一つため息。
ロボットのように、ゆっくりと、視線を下げた。
隣で眠る、金色。先程よりも長い息を吐いた。
ふるふると緩く頭を振り、ぎゅ、と眼を瞑る。
辰伶はほたるの夜着の端を掴み、布団に潜った。
猫のように、猫よりも丸く丸く身を縮込ませ、醒めてしまった意識を再び眠りに沈めていった。
nightmare
「ぅーん…辰伶…?」
もぞもぞと隣で動く気配に気付いたのか、ほたるも目を覚ました。
「辰伶……あれ…?」
直ぐ横にいる筈の辰伶の姿はなく、代わりに足元がふっくらと盛り上がっていた。
「そんなとこで何してんの?出ておいでよ。」
上体を起こし、大きな団子虫に話し掛けた。
布団がふるふると少し動いた。いつまで経っても出てこないことから、首を横に振ったのだと判断した。
「どうしたの?そんなとこいても暑いし苦しいだけだよ?」
また、布団の中で首を横に振った。
「…?」
仕方ないと苦笑混じりにため息を吐き、ほたるも布団の中へと潜っていった。
「辰伶、ホントどうしたのさ。」
「な、なんでもないよ。ちょっと寒いなって思って…」
「寒い?もう一時間暖房つける?隣からもういっこ毛布とって来る?」
「ううん!大丈夫!大丈夫だから、気にしなくて良いよ!気にしないで寝てて!」
「でもホントに苦しそうだよ。横から隙間空けて息してるんでしょ?そんなことするくらいなら出ておいでよ。」
「やっここでいいっ!」
「顔出してもちゃんと暖かいよ?」
「やだっ」
「ちょと……しんれ……?」
頑なに首を横に振り続ける辰伶に痺れを切らし、引っ張り出そうとしたが、寸前のところで手を止めた。
「……辰伶?」
わずかな振動が伝わってきた。
体を小さく小さくして辰伶が震えていた。
本当に熱でもあるのかと、額(らしき場所)に手を当ててみるが、平熱以上の熱さは感じられなかった。
「どうしたの?怖い夢でも見たの?」
ほんの少し、馬鹿にしたような感じで聞いてみた。
「そんなんじゃないもん!」とムキになって出てくると思ったからだ。
ぴく、と辰伶が一瞬一時停止した。
服を掴む力が強くなった。
(ビンゴ…)
心の中で、馬鹿にした事を謝った。
「どんな夢?」
少し間を置いて、ぽつりぽつりと話し出した。
だぁーれもいない夕暮れの道。
二人の子供が手を繋いで歩いていました。
夕日に金色の髪と銀色の髪がキラキラと輝きます。
楽しそうにお喋りをしていた銀髪の少年が不思議な声を聞きました。
何て言ったか分からない。もう一度耳を澄ましたら、金髪の少年の声でも、銀髪の少年の声でもない高い声が『この子をちょうだい』と聞こえました。
瞬間、世界が止まってしまったかのように、かちり、と銀髪の少年の周り全てが止まりました。
ぶっきらぼうに話の受け答えをしていた金髪の少年も止まっていました。
あたふたと辺りを見回します。
目の前に一人女の子が立っていました。
赤い紅い赫い服を着た女の子はくすり、と笑って金髪の少年と共に消えました。
残された少年は走りました。大きな声で何度も何度も「待って」と叫んで走りました。
急に足が止まりました。よろけた体を直せずにぺたり、と地面に手を付きました。