【Dream Well】

□2人の話side:T
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可哀相に、眼の下にクマまで作って…



「最近 毎日だね」



そう言うと、彼はばさっと音を立ててベッドにもぐり込んでしまう。

君は、何を思っているの?



「何のこと?」


「もう寝なくちゃ…明日も学校でしょ?」


そっとベッドに腰を掛ければ
静かな部屋に ぎし…と大袈裟音が広がった。
毛布の上からでも分かる華奢な彼の身体をゆったりと撫でてやると

やっと“答え”た。


「だって眠くない」


「“眠れない理由”を教えてくれないのはなぜ?」


「……」



と思ったらまただんまり。



「それも秘密?」


「…おまえには解んないよ」


「そうかな?」




ねぇ、教えてよ。
俺は君が・・・・愛おしいんだ。


君の事が知りたい。
何でもいいんだ。
今日学校でなにがあったとか
休みの日はどこで遊んでるとか
好きなものとかニガテなものとか


あぁ、そうだ 名前 だって。


そうか…馬鹿だなぁ。
一番大切なものを忘れていたね。
ありえない。
呆れ を通り越して笑える。


“名前”なんてどうでもいい程…

今 目の前の君しか見えてなかったみたいだ。




愛おしいなんて想いながら 俺は、君を知らなすぎた。






でも、今日はもう晩いよ。
だから、ね。


湧き上がる多種の感情を抑えて、俺は彼の頭を優しく撫でる。
そうすると、君はやっと眉毛をハの字にして眠りに就いた。

これは、俺が知ってる数少ない君の顔の1つ。




可愛い―――。




ねぇ、きみがすきだよ。







「…おやすみ、いい夢を」



随分 遅くなったけど…。



俺に教えてくれるかな?
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