【Dream Well】

□2人の話side:T
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君が大切なんだよ。



解ってる?



いくら心配していても
全く伝わってないみたいだ。

“余計なお世話”かな…。




あの子の気持ちを訊くのが怖い。


こんな気持ちになるなんて、まだ若いな…なんてね。








“宝石箱”とはよくいったものだ。

夜道を照らす街灯。
客を呼び込むのに必死なネオン。
行き交う車のヘッドライト。

きらきらと眩しいくらいに輝いて 




まるで、夜がもう無くなってしまったみたいだ。





幽霊だって眠りに着くであろうという時間。

それなのに、あの子の部屋の窓からは明々と光が漏れている。



入り口は決まってここ。
ベランダ側の大きな窓だ。鍵はいつも掛けていない。

無用心だなぁまったく。


なんて考えながらも、そこから入るしかない俺は
音も立てず部屋に入る。

何度も入ったその部屋は
良く言えばシンプルな部屋で、、、
本当にここで生きていけるのかと思うほどに空っぽだ。


部屋の真ん中にダブルサイズのベッドが1つ。
寝よう――とはしているのか
布団にもぐりこんで寝返りを繰り返すあの子がいる。




「眠れないのかい?」


「……うん」


「どうして?」


「教えない」


「教えてよ」



眠いのか、機嫌が悪いのか…
布団から少しだけ顔をのぞかせた彼の瞳が
恨めしそうに俺を睨む。
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