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□とある一夜の出来事
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虚ろな視界にいたのは、無垢な白銀だった




とある一夜の出来事





「………んぁ?」

なんて気の抜けた声だ、と自分でも思ったが、それは仕方ない事だった。

その原因は、本来なら隣のベッドでご就寝中のルカが、何がどうして、オレの目の前で眠っていたからだ。これで驚かない奴がいたら今すぐココに来てみろ。


おかしい。考えてもみろ、と段々目覚めてきた頭と目をフル回転してみる。っつーか、ルカの汚れを知らない寝顔を眼前に見た瞬間に眠気等すっとんじまった訳だが。


えーとなになに、ココは宿屋で、今日はオレとルカが二人部屋になって、そして今は多分まだ夜中、だよな。部屋はまだ暗いし、街全体が寝静まっている感じがする。明かりになるものといったら月明かりぐらいだ。今夜は雲が無いのだろうか、かなり部屋が明るい。
カチ…コチ…と部屋の何処からか時計の針が進む音が聞こえる。時刻を見ようと上半身を起き上がらせようとしたが、まるで狙っていたかのようにルカが「ん……」と眉を寄せて身じろぎをしたので、時計を見るのを諦めてそのまま元の位置にそろそろと戻った。


ヤベーヤベー起こすとこだった!


第一、ここでルカが起きちまったらオレはなんて言い訳を………いやいや、まて。おかしいだろ何だよ言い訳って。オレァ別に言い訳しなきゃなんねぇ事やってねぇ(それでもさっきから顔が緩みっぱなしで説得力に欠けるけどな!)いきなり好きな奴が同じベッドで寝てたら普通ビックリするだろーが。
しかも無防備に寝息を立てている。こっちの身なんておかまいなしに、だ。ただそこにいるだけで、オレはオレの理性にストップをかけるのに必死だってのに。

顔も近い(目測で5cmぐらいか?)

髪の色と同じ睫毛はスゲェ長い(今はあの翡翠が見えない)

白い頬は柔らかそうだ(触った事ねぇ)

小さな唇は薄いピンク色だし(柔らかそうだ)

呼吸の度に上下する細い肩(触ったら折れちまいそう)


そうだ、後ろめたい事なんて何もしてない。してない……いや、本当はしたい。

けど、



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