戦国夢短編
□大好きな人は
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好きな人が女の子で年上だって…ダメじゃないよね?だって恋愛は自由じゃん!
皆やっほー、くのいちなんだぜ!幸村様達のため、今日も元気に任務任務〜。
…の前に、里桜に会いに行こーっと!
くのいちはぴょんぴょんと軽い身のこなしで木々を移り渡り、里桜の部屋まで向かった。
――が、
「――むむ…っ?」
里桜の姿を見つけたと同時に、己の主の姿もそこにあった。
幸村様…、また里桜にちょっかいだしてる。
赤色が特徴的に主の姿を確認すると、くのいちはその場に留まり、木の上から二人の様子を観察した。
「――…ごめん幸村、その日は用事があって無理なんだ」
「そうですか…。無理を言ってしまい申し訳ない」
「気にするな。こっちこそ、幸村のお誘いを断ってさ…ホント、ごめんな?」
「い、いえ!こちらこそお気になさらず!」
…幸村様ってば、また性懲りもなく里桜の気を引こうとして…。
里桜が幸村様の気持ちに答える訳がないのに。
暫くすると、幸村様は部屋を出ていった。
…心なしか、彼の背中から哀愁らしきものが漂っているように感じた気がする。
「…もー幸村様ったら、どうしてすぐ里桜ちんに近づくかなぁ」
「…ん?あ、くのじゃないか!」
幸村様の気配が完全に遠退いたのを見計らって木から降りると、里桜はあたしの姿を確認してすぐ笑みを浮かべた。
それが可愛くて可愛くて、あたしは里桜に思いっきり抱き着いた。
「もー!その笑顔可愛すぎ!」
「ちょっ…あははっ!苦しいってば、くの!」
ぎゅ〜っと里桜を抱きしめると、彼女は苦しそうな、それでいてどこか嬉しそうな表情をしていた。
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