戦国夢短編

□猫と膝枕
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「――うん…?」


ニャー、と猫の声がしたため、里桜は手入れをしていた己の愛刀を鞘に戻し、自分に与えられた部屋の障子を開けて縁側を見た。
そこには案の定、茶色い斑模様の猫が自分を見上げていた。


「お前、確か大殿様に懐いてる子だよね?」


そう問い掛ければ、猫は返事をするようにみゃあっと鳴いた。


「ほら、おいで?」


そんな猫に笑みを浮かべながら里桜はちちちっと舌を鳴らしながら部屋に入るよう促せば、猫はトコトコと里桜の部屋に入る。

猫を膝上に寝かせながら喉元を撫でてやると、猫は気持ち良さそうに目を閉じてゴロゴロと喉を鳴らす。
それが可愛らしくて、里桜はそのまま猫を撫でたりと構っていた。

すると、猫はピクリと耳を動かして静かに顔を持ち上げ、開きっぱなしの部屋の外をジッと見た。


「?…どうかしたの?」


猫が急に顔を上げたことに驚き声をかけると、みゃあんと鳴き声を上げた。
不思議に思い、猫が見ているほうを見た。


「――おや?何をしてるんだい里桜」

「大殿様っ!」


すると、部屋を覗くようにひょこりと元就が現れた。
元就は里桜の膝の上にいる猫を見つけると、ふわりと笑った。


「ああ、そういえば里桜は猫好きだったね」

「あはは…はい、猫を見るとつい構いたくなってしまって…」


恥ずかしげに笑いながらも猫を撫でる手を休めずにいると、元就は「ふむ…」と顎に手を宛がった。

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