立志伝

□STAGE 4...
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「――いいかい里桜殿?兵法を学ぶにあたって重要となってくるのは、情報を得る術なんだ」

「得る術…尋問や偵察、ですか?」

「そう。例え知識があっても敵の内情を的確に掴むことができなければ、戦況を見定めるのが困難となってくる。"敵を知り己を知れば、百戦して危うからず。"というものだね」




――只今、執務室にて郭嘉による兵法の伊呂波を絶賛ご教授中です。
あの後、里桜は抵抗も空しく引きずられて執務室に連れ込まれると、郭嘉は書簡は数本ほど抱えてきたのだ。

まあ、あの郭嘉から直々に学ぶべるのは嬉しいことだが。
……暇潰しではあるが。


孫子兵法の基本的な内容、陣形の見方、険しい地や平坦な土地での兵の配置方、火攻めでの長所短所などを教えられる。

やはり、なかなかに難しい。
しかし郭嘉の教え方は酷く上手く、簡単なものしか知らなかった平和ボケしがちな現代っ子である里桜にでも驚く程にスラスラと頭に入っていく。

こうやってみると、兵法とは意外にも面白く、そして驚くほどに深いものなのだと気付く。



「因みに、火計の利点は敵を混乱させ士気を削ぎ落とし、一気に壊滅させやすくなることだ。だが天の理……即ち、天候を読み違えればその炎は自軍をも危機に陥れる両刃の剣ともなってしまう」

「確かに、時が経つにつれて天候が変化して風向きが急激に変わる時期もありますしね…」

「そうだね。風向きの変化によって、火計は不可能だろうと考えていた敵軍に機会を与えてしまう場合もあるからね」



成る程、赤壁の戦いのことですね解ります。予言ありがとうございます。

里桜は内心で苦笑を零す。
史実?の曹操も、赤壁での大敗時に『郭嘉がいたなら』と嘆いた程の知略と予知能力が高かった人物だしね。


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