立志伝
□STAGE 3...
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――教祖張角は敗れ、黄巾賊は散り散りとなり結果的に壊滅の道を辿った。
そして、黄巾の乱から約一ヶ月ほどが経った。
運よく初陣で什長に昇格することができた里桜は、王康や他の兵士達と共に夏侯惇や徐晃などの名だたる武将より鍛練を受けながら、メキメキと力をつけてきていた。
「……随分と変わった得物を扱っているな」
「自分も、何故この武器なのかよく解りません」
……武器に関してはやはりと言うべきか、夏侯惇にしっかりとツッコミを入れられたが。
まあ、時折ではあるが槍や剣、弓など多数の武器の扱い方を教わるくらいで、普段は呪符で鍛練している。
「…あれ?王康の武器って槍じゃなかったっけ?なんで大剣に……」
「ああ、これ?黄巾討伐の時に敵の輸送兵が落として行ってさ…。ついでだから頂いたんだ」
王康の得物もまた凄い物に変わっていたことに、微かに驚いた。つか、何運んじゃってんの黄巾の輸送兵長。
しかもあれ、おそらく伏犠のモーションではないだろうか。
……まあ、それはいいとして。
この一月の間に解った事と言えば、なんとも嬉しいことに文字が読み書きできるということだ。
乱世の真っ只中に放り込まれたものの、中々に良い待遇だと思う。
もし、ゲームでの曹魏シナリオの通りならば、次の舞台は官渡の戦いになるはずなのだ。
「…あそこは兵糧拠点があるから、火計とか兵法の知識があれば戦いやすくなるよな」
そう、考えるように腕を組む。
しかし、言葉では簡単に言えるものの、悲しいかなこれはゲームではなく現実。
選んでボタンを押せばポンッ、とスキルが身につくわけではない。
それに、初陣を果たしたばかりの自分には全くと言って良いほどに、そういった知識は未だに乏しい。
――賈軍師殿にご教授をお願いしようか…いや、まだ軍に参入したばかりの自分が、そんな事をするのはおこがましいのではないだろうか。でも、後々必要になってくるし。
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