立志伝

□STAGE 2...
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――目が覚めたら、少し古びたテント…幕舎?の中にいた。
一瞬、なんでこんな所にいるのだろうかと頭を廻らせたが、すぐに思い出す。


そうだ…確か水鏡先生に乱世で生きろだとかなんか言われて、誰かに士官させられたんだっけ。
あの人、妙にはっちゃけやがったな…。そんな茶目っ気はいらんわ。


少しだけ痛む頭を押さえながら身を起こせば、自分が着ている服が変わっている事に気付く。



「この服は…確か、エディットが最初に着てる……」



そうだ、布衣だ。二の腕あたりを露出するような服装だが、そんなに際どいものではないから助かる。それに動きやすい。
正直言って、あまり足とか露出するのは好きじゃないし。

服の色は……青色だった。その時点で、自分は曹魏の誰かに士官したのだということが解った。

しかし、上官は誰なのだろうか…せめて女性――甄姫であってほしい。
こうみえても自分は、結構人見知りをする性格なのだ。初めて出会う人なんて目を見れないくらいだ。



「――おーい、そろそろ出陣する準備した方がいいぞ」

「あっ…はい、解りました」



男の声が聞こえて振り向けば、幕舎の入り口であろう所の布が上がっており、そこには同じように青色の衣服に身を包んだ短い黒髪の若い男性がいた。


とりあえずその人に返事をしてすぐ傍にあった呪符を手に持つ。
……本当にこんな武器で戦えるのだろうか。むしろ戦えるのか、私。

少し不安になってきたが、先程の兵が早く早くと急かすので仕方なくその呪符を手に幕舎の外に出た。



「ん?お前、武器は?」

「この呪符ですよ」

「……変わった得物だな。普通は槍や剣じゃないか?」

「あっはー、私もそう思います」



先程呼びに来てくれた男性と軽い会話を交わす。おそらく同じ上官なのだろう。
男性の名は王康というらしく、彼もまた最近士官したばかりだという。


外へ出れば、周りは砂で黄色く彩られ、視界は風により舞い上がる砂塵により薄く阻まれていた。

――黄巾の乱。立志伝では最初の舞台となる土地。


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