三月

□歯車
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出てきたのは黒髪の男子生徒だった。
背は一角よりも遥かに小さい。

「ご、ごめんなさい!今、足踏んじゃいましたよね?」
必死に謝るその瞳に、何故か一角は吸い込まれる感覚を覚えた。

「…え?あ、いや、平気だ。」
無意識に目をそらした。
「そ、それより、もう授業始まるってのになんでこんな所に来てんだよ?」

すると、男子生徒はフェンスの方を指差した。

「子猫があそこに逃げちゃったんです。ケガしてるから手当てしてあげないと…って、あれ、いない?」
「もうどった行ったんじゃねぇのか?」
「そうかなぁ…」

すると

「ニャー」

上から猫の声がした。
見上げると、給水塔の側に子猫がいた。
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