三月
□殺戮の町
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周りを見回してもリンの姿は何処にもない。
「リン?…リンっ!!」
一番声の出るトモが呼んでも、返答はない。
「…さっきまでいたよな?此処に。」
トモが呟いた。
すると突然サクが町の中へと走り出した。
「えっサクっ!?」
俺とトモは顔を見合わせ、そしてサクに続いて町の中へと走った。
モシカシタラ、ココデスデニジゴクガマッテイタノカモシレナイ。
「リーン!リン居たら返事しろー!」
幸い、サクまではいなくならなかった。俺たちは固まりながら行動した。
「おかしいなぁ…」
サクがボソッと言った。
「リン、ずっと近くにいたよな?」
「…おお、居た。絶対居た。」
俺が答えた。
「いつの間にいなくなったんだ?あいつ、確かに部内じゃ一番足速かったけど、さすがに消えることはできないだろ?」
確かに。リンはつい30秒前まで一緒に居た。なのにいついなくなることが出来るのだろう?
「…!サク、ナオ、あれ見ろ!」
トモが叫んだ。
トモの指差した先には、郵便ポストにかかっているクロスのネックレス。
それはリンのお気に入りのものだった。
「これ…!」
すぐにネックレスをポストから外すと、それには赤いものがついていた。
それは人の血だった。