三月
□本当の気持ち
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「レナなら大丈夫だよ、いつもこのくらいの時間に帰ってるし。」
心臓がうるさいくらいドキドキしている。
早く手を放して欲しい。
でないと、圭一にまで伝わってしまいそうだ。
「そうか。」
「レナ、全然平気だから。」
そう言うと圭一はやっと手を放してくれた。
「ホントに大丈夫か?」
「うん。ありがとう、圭一くん。」
そうして別れた後、レナはじっと圭一の後ろ姿を見つめた。
圭一に掴まれた手が熱を持ったように熱い。
「圭一くん…」
その日の夜、レナはなかなか眠りにつくことができなかった。
−次の日−
「はう〜!梨花ちゃんかぁいいよぅ〜!!おっ持ち帰りぃ〜☆」
「みぃー、今日のレナはいつにも増して元気いっぱいなのですー」
レナに強く頬擦りをされながら梨花は困ったように言った。
レナのテンションは寝不足のため、すっかりハイになっていた。
「レナがこんな調子だから、今日の部活は外でやろうか。」
魅音が頭に両腕を組ながら提案する。
「私は大賛成ですわ。ちょうどグラウンドにトラップを仕掛けてありますし。」
「ちょ、沙都子お前、学校の敷地内にトラップ仕掛けんなよ!」
「あら圭一さん、私の芸術的トラップに怖気づいたんですの?」
「誰が怖気づくかよ!」
「よっしゃ、じゃあ決まりだね!各自着替えたらグラウンドに集合ってことで!」
魅音の言葉と共に、部活メンバーは全員着替えてグラウンドへと走った。