三月

□本当の気持ち
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「はう〜、早く帰らないとお父さん心配しちゃうな」
そう言いながら下駄箱に向かう。
すると、下駄箱の近くに人影が見えた。

「?」

外の照明で逆光になっていたが、シルエットから見て、それが圭一であることがわかった。

「圭一くん?」
「よお。やっと来たか。」
「なんで圭一くんがここにいるのかな、かな?」

きょとんとした口調で聞く。

「もちろん、レナのこと待ってたに決まってんだろ?女の子一人で帰るのは危ないしな。」
「みんなは?」
「先に帰らせた。」
圭一は「ほい」とレナに靴を渡しながら答えた。

正直、圭一と二人で帰るのは予想外だった。

フワラズノ勾玉の騒動以来、レナはなるべく圭一と二人きりにならないように、登下校は魅音を入れて三人で、それ以外は部活メンバーと行動していたのだ。

勾玉を封印する際に言った言葉
「竜宮レナは、圭一くんのこと大好きだよ。」
あれを言ってしまったため、レナは今ではかなり気まずいと感じてしまっている。
魅音は聞こえていなかったらしいが、もしも聞こえていたら大変なことになっていただろう。

レナ自身も、それが友情としての好きか、それとも恋愛としての好きかわからない。
だからレナはまだ混乱しているのだ。

「レナ」
「はう?」
「さっきからぼーっとしてんぞ?」
「あっ、ごめん…」

しばらく沈黙のまま歩き続けていると、いつもの別れ道に着いた。
普段はここで各自の家に帰る。

「じゃあ圭一くん、また明日ね。」

帰ろうとした時、圭一に手を掴まれる。
圭一の方を見ると、なんだか困った顔をしていた。

「圭一くん?」
「あ…いや、暗いから、家まで送るぜ」
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