三月
□西行妖の咲くころに(☆)
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「あなたがいてくれたから、私は今までやってこれたわ。」
「私は…仕える身として当然のことをしているだけですよ?」
「いいえ、あなたはよくやってくれているわ。」
「ありがとうございます。でも幽々子様、どうかしたのですか?」
しばらく黙った後、再び口を開く。
「…ねえ妖夢、この桜が満開になってもならなくても、ずっと私の傍にいてくれる?」
私は目を丸くした。
そう言った幽々子様の声は酷く震えていたからだ。
「私、もう一人になりたくたいの。あなたを失いたくないのよ。」
潤んだ瞳で私を見る。
「幽々子様…」
いつの間にか私は幽々子様を抱き締めていた。
そうしないと、彼女が崩れ落ちてしまいそうだったから。