三月

□花火
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大切な人の誕生日、あなたは何をしてあげますか?

〜花火〜


日番谷の誕生日間近、雛森はある計画を立てていた。 それは、彼の副官の松本乱菊が、彼の誕生日に隊舎の屋上から花火を見せたことをもとに、今度は自分との故郷である潤林安で花火を見ること。
前回は大勢で見たけれど、今回は二人だけで見たいと思っていた。
「あの、乱菊さんは花火何時やるかわかりますか?」
雛森はさっそく乱菊に相談してみた。
「え?花火ぃ?…………あぁ、隊長の誕生日ね。」
乱菊は雛森の考えていることが大体わかったようだった。
「そうねぇ、あ、もしかしたら瀞霊廷通信に載ってるんじゃない?ちょうど今週号も出てるし。」
「え? あ、そっか。そうですね、ありがとうございます。」
乱菊はただ旦に自分で教えるのが面倒なだけだったが、そんなことは雛森はもちろん気づかず、そのまま通信誌を買いに行った。

「あれ?雛森じゃねーか。何か買いにきたのか?」
今日の販売当番の席には出版に何の関わりもない阿散井恋次がいた。
「あれ、阿散井くん?なんで雑誌なんか売ってるの?阿散井くんて別の隊だよね?」
恋次は少し迷惑そうな顔をして、
「今日の当番はホントは檜佐木先輩のはずだったんだけど、先輩急にハライタ起こしちまって…。で、丁度暇だった俺が代わりにやってるってわけ。あの人見てるとなんか可哀想っつーかなんつーか…………」
「そっかぁ…。大変なんだね、先輩も。
じゃあとりあえず一部ください。」
「あれ?今軽くスルーした?」
「じゃあ、阿散井くんも店番頑張ってね!」

立ち去る雛森の背中を見ながら、恋次はただあっけにとられていた。
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