三月
□接吻
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ある日の十番隊舎。
日番谷は執務室で黙々と書類を片付けていた。
今日を入れて3日間、ろくに寝ないでずっと仕事をしているのでだいぶ疲れは溜まっている。
だが、あと少しで全ての仕事は終わるので、ここで中断するわけにはいかない。
そう思いながら手を動かし続けること4時間
「終わった…」
やっと片付いた。
書類をまとめた後、筆を机の上に置いたままソファーに倒れこむ。
「ダメだ、眠い…」
そう言った後すぐに夢の中へと沈んでいった。
−ひつがやくん
声が、聞こえる。
−日番谷くん、寝ちゃったの?
自分をこう呼ぶのは一人しかいない。
雛森だ。
幼なじみでもあり、自分の恋人でもある女性。
まさか夢にまで出てくるとは思わなかった。
「悪い、つい寝ちまった。」
寝ているはずなのに自分ははっきりと話している。
夢の中だからか?
「ここしばらく頑張ってたもんね、お疲れさま。」
ふと目を開くと、愛しいその顔がすぐ近くにあった。
優しい瞳でこちらを見つめている。
自分を見ているその表情があまりにも可愛くて、つい手が伸びてしまう。